いくら苦しくったて 真実は知りたいものだ
傷を見せびらかして舐め合っている日々は 終わりにしたい
たとえ信じていたものが 全くの嘘だったとしても
受け入れられますように 受け入れてくれますように
あの日 大事な誰かを 誰かが殺めてしまった
たくさんの大事な誰かが 殺められてしまった
『仕方がない』では済まされない
知らないといけないことなんだ
誰かの眠りが深くなってしまった時
その人は 私たちより先に宝箱を見つけた
私たちも見つけないといけないね
どこかから 讃美歌が響いてきた気がした
あなたにも聞こえていますか?
いくら痛くても 本当のことを知りたい
罪を隠して善人のふりをする日々は 終わらせた方がいい
たとえ見せたくないものが 明るみになったとしても
そのまま眠らせるわけにはいかない
あの日 誰かの大事な誰かが どこかへ攫われてしまった
でも これは仕方のないことではない
今日だって 寝付けない誰かがいる
行くべきところへ行けない誰かがいる
誰かの眠りが浅くなる頃
その人は 唄を歌うだろう
美しい鎮魂歌が 響きわたることをやめませんように
どうか、純粋な祈りの言葉を・・・
アーメン
頭がまっしろになる
きみといると、
悪いこと全部忘れて
まっしろなわたしが、うまれる
足を止めた者を横目に、僕は前に進む。それが動く足のある者の特権だから。
沈みゆく者を尻目に、僕は藁をも掴む。それが動く手のある者の特権だから。
静かに嘆く者を顧みず、僕は綺麗事も泣き言も吐き出す。それが表現する言葉のある者の特権だから。
自分勝手な罪悪感と優越感を背負って、僕は生きていく。それがまだ生きている者の特権だから。
覚えたての言葉を あなたは
口の中で転がして微笑んで
わたしは 夢の中で行ったスーパーを
思い出していた
なんて名前のお店だっけって
きいたら
覚えてるわけない、じゃなくて
忘れちゃったよ なんて言うんだもの
魔法の飴玉をください
水の中でも息ができるように
せんせい とかいうおおきなひとが
にこやかなかめんをはりつけて なまえをよんだ
べつのひには おともだちをどなりつけていた
おこったかおで なまえをよんだ
おかあさん とかいうおにみたいなひとに
まいにちどなられていた
おうちがこわかった
おとうさん とかいうしゃべらないひとは
さいごまでなにもいわなかった
どこにいったのかな
またべつの先生 は やはりニコニコしているだけで
なかまはずれもいじめもわるぐちも 見えてないフリ
クラスメイト は誰も信じることができなくて
教室の中ではいつもひとり
上級生 とかいう年上のお兄さん・お姉さんたちは
背が私より高くてかっこよかった
私もああなりたい なれるのかな
テレビに出てくるよくわからないことを喋るおじさん は
死んだ魚の目をしていた
いくつになっても言ってる意味が全くわからないや
母親がまた毒づいている
誰かに物を隠されたので 先生に言ったけど
やはりなにもしてくれなかった いじめに対しても何もしなかった
あの先生はいい先生だとみんなは言います
でも私にはどこがいいのかわかりません
みんなはその先生のことをよく知らないみたいです
親を大事にしろとおとなたちは言います
でも私は大事にできません 大事にしてもらえなかったから
笑った顔のままの友達は 中身が何も無かったし
笑った顔のままの先生は 操り人形みたいでした
音楽は好きでした でも音楽の時間は嫌いでした
みんなと一緒に何かをやるのが嫌だったのです
行事とかもどうでもいいです
クラス写真にも 記念写真にも 一緒に写りませんでした
あのステージに立っている楽器の上手い人たち は
先生なんかより 友達なんかより 母親や父親なんかより
死んだ目をしてテレビに出ているおじさんなんかよりも
まともなことを歌っていました
でも裏では何を拝んでいるのでしょう
世の中の大人たち は 憂鬱を背負って生きています
そして時には憂さ晴らしに 自分より下の人たちに八つ当たりをします
味方だと名乗っておきながら 何かあった時は他人事
自分に都合の悪いことは 知らんぷり
私はああなりたくない
ああなるのが怖い
大人になるのが怖い
ああなるしかないのかな
『まだ何か気になるものがあるのか?』
今日もまた、いつもの窓辺にいると後ろから先生が声をかけてくれた。
「今日は何もない!!」
『今日は?じゃあ、今日は何をしてるんだ?』
そう言うと、先生も腰掛ける。
「今日はね、春のにおいを楽しんでたの。」
『春の匂い?』
「うん。春のにおいがする。」
『花のにおい……っていう事か?』
「う〜ん、花の匂いとか、空気の匂いとか、暖かさとかかな〜?」
『まぁ確かに、何かの花の匂いはするし、暖かくなったな。春はもうすぐだろう。』
「だよね(笑)!!私、季節の変わり目の匂いって好きなの。」
『楽しくなるか?』
「そうね〜。それもある。なんて言ったらいいかわからないけど、好きなんだよね〜(笑)。」
私はニコッと笑う。
先生はニコッと笑い返すと、春のにおいをかいだ。
私も深呼吸をして空気を肺の中へ入れた。
『確かにこれは、春のにおいなのかもな(笑)。』
先生はもう一度笑うと校舎の外を指差した。
『桜の花ももうそろそろ咲きそうだ。』
「楽しみだね!」
『あぁ。桜が咲いたら、ここで花見をしよう。』
「おっ!いいね!!楽しみだ!!」
私はこの春のにおいを楽しみながら、
明日からまた頑張ろうと背筋をしゃんと伸ばした。
先生は、猫のように日向ぼっこを楽しんでいた。
苦しい
何も考えられない
足音が後から近づいてくる
嫌だ
嫌だ
でも
抜かさる
どんどん
どんどん
離れてく
足がもつれる
息が苦しい
わからなくなる
自分の限界
わからない
今自分が
本気で走っているのかが
君はお伽話を嫌うけど
もし本当にそんな世界になったら
君はどう思うの?
懲りずに頬をつねってみるのかな
世界が僕らを引き離すような
そんな映画のワンシーンに
僕らが居たならどうするの?
「夜中の2時を過ぎました。
地球上の人類の最後の3人のうちの
1人が只今消息を断ちました。
残るは僕も合わせて2人です。
僕と君の2人です。
僕は今この電波を使って、
君に話しかけています。
あなたが誰もいない夜に泣かないように。」
君はどうするの?
もしそんな世界になったら
僕はどうするんだろう?
君と僕だけの世界になったら
「あの時はありもしないことを、
並べ立てて笑い合ったね。
でもさ、こんな世界で君は
今何を思っているの?
嘘つきたちはもう居ないよ。
時間と距離だけが僕らを焦がして
頼りない時間は伸び縮みするけど、
もしも本当にいるのなら
神様はどう思ってるんだろう?」
君は喜ぶだろうな
僕と君だけの世界になったら
君は泣くだろうな
僕という世界が終わったら
「多分、世界は意地悪なんだ。
僕と君の涙の量は一体地球を何個埋めれば、
気が済むのかな?
泣き止んで誇らしげに僕を見つめる、
その顔を見せてよ、その内側を見せてよ。
隠さないで見せてよ。」
君がいれば別にいいんだ
いや、別に君がいなくたって良いけど
君なんか居なくたって生きていけるよ
嘘、ここに居て
「ここまでは僕がお送りしました。
ここで一曲を流したいと思いますが、
君のリクエストを教えてよ。
どんな曲でもあるよ。
ボブ・ディラン、ビートルズ、
邦楽だってあるよ。
なんでもいいよ、何だって良いけど、
僕はどんな曲より、君の声が聴きたいよ。」
君はどうするの?
僕が目の前から居なくなったら
僕はどうするんだろう?
君が目の前から居なくなったら
君はどうするの?
泣きたくなったら
君は多分その涙で
また地球を埋めるんだろう
こんな世界になってもなお
僕はいつもの所で待ってるから
でも、時はあっという間に過ぎていった。
ここがまた、まじめな顔で言ってきた。
「夏休み中に引っ越す」
覚悟はしていたから、今度はそれほど悲しくはなかった。私は平常心を保って言う。
「うん。分かった。あと2週間か…」
あと2週間。私たちは"今”を大切に過ごした。
運動場を駆け回ったり、授業中に手紙を回したり、カラオケや映画館に行ったり。
本当に色々なことをして楽しんだ。
そして、当日。お別れをしに私はここの家を訪ねた。もう荷物などはない。すっからかんだ。
「もう、バイバイだね。寂しいな」
「そうだね。…あのさ、これ」
私は持ってきたものを差し出した。手のひら2つ分より少し大きいものだ。
「何?」
「今、開けないで、私がいないときに開けてみて」
「分かった。…あ、ちょっと待ってて」
パッと立って、部屋を飛び出していった。
「私も、これ。同じように開けないで」
それは、私が渡したものより、結構大きかった。大きさなどよりも、向こうも用意してくれていたということが嬉しかった。
「ありがとう」とお互いお礼を言って、外へ出た。
泣かないと決めていたのに、もうお別れだということを実感して涙が出てきてしまった。ほとんど同時にここも泣き始めた。
「本当にありがとう。本当に楽しかった。絶対また会おうね」
「こっちこそ本当にありがとう。結花がいてくれて毎日が充実して楽しかった。離れるけど、○○のこともいっぱい話そうね」
「じゃあ」
「じゃあ」
私はここに背を向けて歩き始めた。
振り返りはしなかった。もっと涙が出てしまうから。