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               揺り籠

          何処にも逃げられず 独りになった          
          何日も何年も 同じことの繰り返し
          揺れる前髪 戸惑う心 空中遊泳中
          全てがスローに 不安定なこの世界

          遠くのものは近く近くのものは遠い
          はっきり見えていた筈のものがない
          どうしても理解できないまま苦しみ
          どうしても捨てられないまま抱えた

          ふわふわと 何処にも着地できない
          どうしてもこうしても 同じことで
          揺れる心臓 割り切れないで悩んで
          なにも知らないくせに 知ったふり
 
          ふらふらと 行き先が決められない
          なにしても上手くいかないのはなぜ
          観覧車の中で 景色も見ないで眠り
          せっかくの宝物を喪った ほらまた

          上手くいかない 上手く息できない
          なにも歌えない なにも作れないで
          情けないな そこにあったものすら
          最も簡単に壊してしまった あの日

          鳥籠の中で 呼吸も止められない鳥
          僕らの縮図 誰も死に切れないのさ
          ブランコに乗って 揺れ続けた心臓
          祈ることも忘れて ずっと泣いてる

          また煌めいて揺らめいた雫 溢れた
          宝石のよう でも一瞬で枯れ落ちた
          これで今日は眠れるかい 震える手
          言葉の一つ紡ぎ出せず やるせない

          それでも僕らは 生きるしかなくて
          風に揺られながら 流れ着く先には
          きっとなにも転がっては ない筈さ
          そう信じても まだ揺れ続けるんだ

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メンヘラうさぎ

いつだって隣にいたいけれど
そんなことは出来ないから
せめて連絡を取りたいの
「何処にいるの」
「何してるの」
「今、誰といるの」
側にいないと私、寂しくて
しんじゃいそう。
たまにじゃなくて毎日会いたい
またねじゃなくて帰したくないって言って欲しい
あなたを独り占めしたいの
だめ? いいよね。
だって、あなたがいないと私、
しんじゃうもの。

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離れてしまう、「貴方」へ

貴方の温もりに触れた時
どうしようもなく嬉しくて
でも嫌われたくなくて
こわばりが解けなかった

「こんなにも好きだったんだ」と
気づいた時にはもう遅く
「こんなにも愛おしいんだ」と
分かった時にはもう側に貴方はいない

新しい未来の中で
私はずっと貴方を想うだろう
陰で視界を滲ませたことも
いつか笑って話せるのだろう

次に会う時まで
貴方への気持ちは留めておこう
だから、
私が変わってしまう前に
迎えに来てね

___◯◯◯◯◯。

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追憶

正直に言うとあの日をおぼえてはいなくて
ただいつからか
あのとき大変なことが起こったのだと
知っていた

はかりしれない恐怖と絶望と、とか
ご冥福をお祈りします
なんて言うことは簡単で
傍観者で勝手に区切りをつけて
ほんとうはどれほどかもわからずに

あの日から10年経った日は
特別な感慨なくいつもの日が過ぎて
それから10日経った今になって
ぐらぐらと
あの日が重さを伴って迫ってくるのです

10日前の10年前
いつもの日を断ち切られたすべてのひとが
いつかしあわせであったらいいと
願います