お風呂みたいな微笑みと
猫みたいな微睡みで
つられて心やさしくなる
冷蔵庫が咳をして
君のしゃっくりが止まったら
ちょっと真面目な話をさせて
今日はいつもの窓辺で季節の変わり目の風を楽しんでいた。
“やぁ。”
アルの声と二人分の足音がしたので振り返る。
「え〜?アルも来たの〜??」
『嫌だったか?』
アルの代わりに先生が問う。
「だって、私と先生座るだけでもう入れないっ!!」
『入れそうだぞ?』
そう言うと、先生は隣に座ってアルを招く。
「アル、待って!先生がまん……いや、私が真ん中!!!」
“さぁ、座ってもいいかい?”
「うん、良くないけど良いよ!」
『どっちなんだよ(笑)。アル、座るといい。』
“隣に失礼します(笑)。”
アルはニコッと笑う。
「二人の秘密の場所だったのに〜!」
私はアルにほっぺを膨らませて見せる。
“それは、それは。すみませんでした(笑)。”
アルが笑うと、先生は私の頭に手をのせる。
『まぁいいだろう?私の部屋も知っているし、授業だってあるんだ。』
「え〜。…うん。わかった。」
“素直だな〜(笑)”
「ムっ!」
私はアルを一瞬、怒った顔で見る。
そして、ニコッと笑う。
『今日は何してたんだ?』
「季節の変わり目の風の匂いを楽しんでた〜。」
『君はそう言うの好きだな(笑)。』
「次はきっと雨の匂いだと思うな〜(笑)。…あっ、アルは?こういうの好き?」
“そうだな〜。どっちかと言うと好き。”
「ふ〜ん。」
『興味なさそうだな(笑)。』
「あるよ、多分(笑)。あるから聞いた。」
“少しは興味あるみたいで良かった。”
私は少し先生寄りに座る。
「なんかアル、嫌(笑)。」
私はイタズラに笑う。
『また今度、アルが魔法を見せてくれるよ(笑)。』
先生は優しく、朗らかに笑う。
“え〜、私がするんですか〜!?”
私と先生はアルを見て笑った。
そして、風の匂いで季節の変わり目を感じとった。
掴めば糸くずになってしまう
いちめんの雪で あなたと転がる
やさしい話だけをしてね、
この体温を 忘れないでね
「そういえば、おにいちゃん名前何て言うの?」
「カズ」
「カズ?僕は悠斗って言うよ!カズにいちゃんって呼んでいい?」
「好きにしな」
やった!
「ありがとう!」
「あいよ」
カズにいちゃんか…。もう、本当のおにいちゃんじゃないか。
「カズにいちゃん、お仕事は?」
「してないよ」
「ムショク?」
「そう」
「ふ~ん」
「君は将来何になりたいの」
「僕はね、消防士!いっぱい人を助けるの!」
「…そうか。…いっぱい人を助けなよ」
カズにいちゃんは僕を真っ直ぐ見て言った。真面目な顔だったから、僕も真面目な顔になった。それからまたカズにいちゃんは僕が好きなクシャっとした顔に戻った。
「じゃ、今日は帰るよ」
「もう帰るの?明日は来る?」
「どうかな」
「来てね」
カズにいちゃんは返事も何もせず、僕に背を向けて歩いて行った。僕も1人だったらすることがないので帰ることにした。
恋は盲目だと云うが
私は恋をしていろんなことを見つけられたよ
同じくらい
盲目にもなったよ
いつもと変わらないじゃないか。
手に入れたり失ったり、それに気づけるじゃないか
嫌なこと全部一切合切
これからのちょっとの幸せとか大きな歓びとかに繋がって居ます様に。
それで私が生かされているのなら
活かされているのなら
そう思えたら
大丈夫と言ってくれます様に。
わたしの瞳があなたを捕らえ
あなたの瞳はわたしを捉える
数秒間の沈黙と変わらぬ歩調
それでいいの?と鳴るは警鐘
枯渇した喉の隙を縫うは言葉
地面を這うような低い声帯は
それでも確かにあなたへ届き
視界から消える瞬間にエコー
振り返りたい衝動を押し殺し
カーディガンの赤色を脳裏に