自分の心臓 今日はやけにうるさいね 少しだけでも黙ってくれよ 時計の秒針 カチコチうるさい そんなに焦らせないでくれよ 命も時間も有限で大切 よく聞く言葉だ それは事実。だから、どうした? 手垢にまみれまくった言葉は すぐに解放しろ 違う言葉に生まれ変わらせろ 同じ形に固定されて窮屈だ だからだからだから… 常套句や決まり文句を、ぶっ壊してやりたい 破壊衝動を、言葉に向けて
何度諦めるって言っただろう
何度大嫌いって言っただろう
そのくせ
何度君を終われなかっただろう
嫌われてる?
そんなの分かってたけどさ
もどれない?
そんなの知ってたけどさ
ただ
君といたかっただけなのにさ
君を笑わせたかっただけなのにさ
どうしてこんな辛いんだろ
どうしてこんな痛いんだろ
理由ならずっと前から知ってるよ
どうしようもないくらい嫌われても
どうしようもないくらい好きなんだ
涙じゃないんだ
ベッドから滑り落ちた雨が
地面に落ちて
それはそれは芸術的な
シミを板目に作ったの
本当なら僕らの
2番目の宝物になるはずのものを
僕たちは僕たちのために
使い果たしたんだ
必死だったんだ
何故、こんなにも
じれったいんだろう
じれったくて
汗ばむの
くっついてんのに
距離だけはそれでもあって
初めは0.05ミリ
次は0.03ミリ
最後にはお察しの通り
能動的で最高な
盲目的で最低だ
僕らは白いシーツの上でしか
主人公になれなかったの
サクランボを君が口に放り込んで
僕はボクになる
君は自分で殻を破れないから
僕が破ってあげないと
でもそれって辛いでしょ?
我慢してよ、泣いちゃヤダ
ここに居る意味を君の中に
置いてきてしまったから
急いで取ってくるよ
ちょっと待ってて
何故、こんなにも
じれったいんだろう
じれったくて
汗ばむの
抱き合ってんのに
泣く寸前の一歩手前
シーツを濡らしたのは
だから、涙じゃないってば
断片的で直感的な
喜劇的で悲劇的だ
僕は多分僕のもので
君は多分君のもので
でもここでは
僕は君のモノ、君は僕のモノ
「熱」は予測変換で「君」に
「恋」も予測変換で「君」に
「愛」ですら予測変換で「君」なったのに
「僕」は予測変換で「君」には
なれっこなかったんだ
分かってるフリして
実はゼロすら知らなくて
バカみたい、バカみたい
何故、こんなにも
じれったいんだろう
じれったくて
僕はシーツに潜り込んで
君にしか聞こえない声で
メソメソ泣くの
君の隣で「君が居ない」って
メソメソ泣くの
私は空を見上げた。雲のすきまから見える太陽は美しい。少し向こうに天使のはしごが見える。いいな。私もああいう風に照らされてみたいな。
「クルミ!早く来なさい!」
母だ。
「何でしょうか」
「何でしょうか、じゃないでしょう!早くこれを片付けなさい」
「はい」
机に置いていた食器を台所へ運ぶ。カチャンカチャンという音を立てて流し台に置いて行った。
「できました」
「よろしい。勉強をしなさい」
「はい、分かりました」
私は2階にある自分の部屋へ行くため階段を駆け上った。
机に教科書やワークを出して早速取り掛かった。来週テストだからこのワークを終わらさなければならない。
「クルミ!こっち来て!」
また母の声がした。私は急いで階段を降りて母のもとへ行く。
「今日はやっぱり勉強しなくてもいい」
「えっ、でも。来週…」
「黙りなさい!今日はいいと言っているの」
「は、はい。分かりました。片付けてきます」
再び私は階段を上って部屋のドアを開けた。出していた物を棚や引き出しに片付けた。
「これ、観よ」
「え?あ、はい」
降りてきて言われた。今日の母はどうしたものか。変に優しい。
言われて観たテレビ番組は、相変わらずつまらないものだった。
バラエティー番組なのに、ニュース番組を観るかのように黙りこくってジッとしていた。
人に嫌われるのと
人が嫌いだと勘違いされるの
どっちが苦しいかな