…来ねぇーじゃねぇかよ。
「倖田、柴崎は?」
「寝坊です」
言ってやった。
「寝坊じゃないです!」
来た。
「お腹痛いって言ってって言ったでしょ?」
「何言ってるか全然分かんない。でも遅刻したのそっちでしょ。来るって言ってたし」
「げげげげげ」
「ふっ」
「わ!笑ってくれた!」
笑っちゃった。
「じゃあ、ここにある木を線書いてあるから切っていってほしい」
先生の前には数えられるか数えられないくらいの木が並んでいる。木といってもそれほど大きくはなく、手の指先から肘の辺りまでの長さ。
そこに鉛筆で線が書かれている。
それを何と言うのか分からないやつでガタガタと切っていく。
「こわいね」
「うん」
すごい振動で、手が震えてしまう。
「できた!」
「私も」
上手いとは言えないがそこそこにはできた。
「あ、おはよう」
「い、今~~~~!!!!????」
君を今日もひとめ見たくて
私は今日も足を動かすの
君は今日、なにを見たくて
足を動かすの。
届くことは無き一通の手紙
色褪せぬお菓子の箱の装飾
気持ちが詰まりすぎた日記
英語のノートのコメント欄
排出できなかった言葉たち
体言止めを独り撫でつけて
全部ぜんぶ抱き締めたから
大丈夫だよ、根拠無き呟き
ニンゲンは平気で指紋をつける
おまけに爪をたててカリカリと
「何でこのテープ剥げないの」
アタシとこのコの愛を知らない
平凡なニンゲンの台詞は飽きた
(触れたらもう戻れないわよ)
アタシの声が聞こえぬニンゲン
アンタも大人な恋をしてみなよ
抱き合えばもう離れられないの