扁桃腺で恋してる
38度5分のラブレター
熱々のうちに読まれたし
賢いですよね
かっこいいですよね
優しいですよね
高身長ですよね
些細なことにも気づいてくれますよね
先生かっこいいですよね~
もしも、地球が壊れてしまったら。
人々が"それぞれの星"に住むことになったら。
星と星との距離は遠いだろう。
だから直接話すことはできない。
電話が主流になってくる。
愛が生まれることもなく、育まれることもない。
一人よりは独りが似合う生活になる。
武器なんかは地球に置いてきちゃったから戦争なんかはできない。
家も自分で。
幼稚園くらいまでの子供は残念ながら独りというわけにはいかない。
だから母親が育て小学生の年齢になるたびに旅立つ。
病院というのは必要だ。
だから比較的大きな星に建てられる。
しかしこれというのも人数制限がされる。
予約制だ。
学校もまた必要。
これはリモートでできる。
簡単に言うと宇宙だから電波が劣っている。
これも簡単に言うがドローン的なものが動き回っている。
どうやらそれがイケてるらしい。
先生も自宅から。
地球が壊れる直前に色々なモノを持ってきている人がいた。
それをネットで売り、買う。
それで初めて人間は「助け合い」「協力」という言葉の意味を知る。
誰かが落としたハンカチ
白色の右下に黒が滲む
聞こえる誰かの泣き声
静寂な空気が号泣で染まる
公園のベンチに子供が1人
鼻水垂らして泣いている
そっと渡したハンカチ
白色の右下が涙で濡れる
持ち主の涙はそっと枯れた
今日はお祭りらしいよ。
そんな言葉が、ふっと耳を抜けていった。
ひぐらしの声と一緒に、熱を帯びた空気がお囃子の音を運んでくる。笛が提灯まで誘っているようで、ひどく酔いがまわったような気になった。
ひとりでいるはずなのに、なんとなく“みんな”を感じて、ふわふわと熱に浮かされている今日は、どうにもうだるように暑い。私は主役なんて柄ではないが、世界が私を祝福しているようにさえ、今日という日は感じさせる。それが、祭りというものなのだろう。
主役は、誰かに見られているものである。
だから、夜の片隅にいるその見物人に私が気付いたのは、彼もまたどこかで主人公だからなのだろうと、漠然と思った。
夏は日が長いとはいえ、夏至を過ぎているのだから、夏の夜はおそらく思っているよりも長い。祭りには適しているかもしれない夏は、やはり都合がよいものである。
見物人は、喧騒の輪からはだいぶん外れていた。提灯の灯りが届くには厳しい範囲に位置取りしている。全人類祭りが好きである、なんて暴論を唱える気はさらさらないが、興味がないにしては距離が近く、興味があるにしては距離をとっているものだから、私には理解できないながらも不器用な人なのだろうと、遠くから思う。ただ一点、遠かったのは、私の方かもしれなかった。
私は見物人に、
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「私は私が嫌いだよ」
「君が嫌いな君のことも、僕は好きだよ」
君と話そうとしただけで、どうしてこんなに指先が冷たくなるのだろう。
君とLINEをしようとしただけでどうしてこんなに緊張するのだろう。
君と「おはよう」の挨拶を交わしただけでどうしてこんなに頭が真っ白になるのだろう。
君と一緒に歌っただけでどうしてこんなに嬉しくなるのだろう。
君と同じ時間を共有するだけでどうしてこんなに幸せなのだろう…
ただの意味も為さない文字列が
君の手掛かりだった
「たかが」じゃなかった
君だった
機能が詰まった高性能な箱が
君の手掛かりを掴めず空っぽに見える
それでも君をのこすため
カラの箱で君を文字にしている