焦げ臭さを纏ったキッチンの空気が
ぼくをすっかり包み込んでしまって
暴れまわる油たちにアブラカタブラ
どうしたってこうしたって出来ない
きみがいた頃の体温にもう戻れない
唸ったぼくを見上げてパチパチパチ
唐揚げは羽をはやして瞳を潤ませた
腫れぼったい皮を剥いで
溜めこんだ雫は限界集落
堕ちても墜ちても深い沼
いちごジャムは嫌いなの
どろりと落っこちた愛執
哀愁漂わせながら告げる
ずっとあなたに寄り添う
ある少年はパフェを作った。
下から、星屑のコーンフレーク
土星の輪を溶かして作ったソース
雲のマシュマロ
星屑のコーンフレーク
流れ星のキャンディ
少年の師匠は満足げに彼を見ていた。
「暑い……。」
そう呟いた声を先生が拾う。
『まぁ夏だからな。』
「お〜、いつの間に先生。」
『顔にタオルをかけてるからだ。』
「いや、もう暑すぎて(笑)。」
『確かにこの暑さは死んでしまいそうだ(笑)。』
先生はチョロっと舌を出しながら笑う。
「うわ。何それ。可愛いかよ。」
私は先生を少し睨む。
『いや、なんで睨むんだ?』
「私より可愛かった罰。」
私はムスッとした顔を見せるとニコッと笑う。
「先生、可愛いから焼きもち焼いちゃう(笑)。」
『君は女の子なんだから、君より可愛い訳はないさ。』
「最近は更にさらけ出してるよね、先生(笑)。」
『何をさらけ出してる?』
「う〜ん、全部かな。自分をさらけ出しすぎ〜(笑)。」
『そんなつもりはないのだが??』
「いやいや、自覚なし(笑)?」
『自覚も何もさらけ出していない。』
「ふふ。先生のそういうとこ好きよ(笑)。」
“なんかイチャイチャしてんな〜(笑)。”
アルが音をたてながら歩いてくる。
「おっ、久しぶりアル。」
“久しぶり(笑)。”
「何してたの?」
“仕事だよ、仕事。”
「先生はここに来てくれてるのにな〜……。アルは仕事ばっかしてんだな〜。」
私はアルをジロッと見る。
『可愛い顔が台無しだぞ(笑)?』
先生は笑いながら手で私の目を覆う。
私は先生の手をずらしながらアルに言う。
「アルめ。今日は先生がいるからお預けだっ!」
“いや、アニメのセリフみたいに言うなよ(笑)。”
「ごめん(笑)。そういうつもりじゃなかったんだけど(笑)。」
久しぶりに3人揃った廊下は少し騒がしかった。
3人の笑い声が響く廊下に、蝉の不思議そうな目が釘付けされている事を私達は知るはずもなかった。
いつも「うん」で会話を終わらせてしまう僕。
でも君はそんな僕を気遣って声をかけてくれる。
だから僕は君を好きになった。
「うん」で終わらす僕を君は笑った。
僕はその顔を真似することはできない。
「好きな子いるの?」
聞いてみた。
成長した僕をほめてくれ。
ねえ、
あのさ。
ちょっと聞いて欲しいんだけど…
…
いや…、ごめんやっぱなんでもない…
( )
昨日 声聴いたら また好きになった
彼の想いを知ったら もっと好きになった
きっと今日もまた 好きになる