晴れた日ひとり、コンビニエンスストア
見慣れた幟、開くガラスドア
あぁ まさか君が、ここに居るとは!
高鳴り躍る、心の音は。
指切った、指切った
それは紙か約束か
滴った、滴った
淡い血液か溜め息か
がんばった君には赤いリボンを
解いて手繰りよせたなら
ああ
君だった、君だった
辛いことがあった
自分の存在が不安になった
明日が怖くなった
その時、ラジオをつけた
パーソナリティさんの楽しそうな笑い声
まるで自分に語りかけているみたい
つられて私も笑った
放送が終わるとラジオを消した
さっきまであった辛さや不安はなくなっていた
また 辛くなったら
私はここに来るだろう
温かい人たちがここにいる
私がいていい居場所がある
別に?
ムリしてないよ笑
ああ、頭痛いのはいつものこと。笑
え?
だから大丈夫だって笑
別に
気づいたら、僕は両手に言葉という凶器を握りしめていた。
言葉から相手の血が滴るが、僕はそれを放り投げて、元の世界の顔に仮面を変える。
次の日。
僕は関係無い奴らに首をやられる。
まあ、一瞬で治るからいいけど。
次の週。
僕は学校を休んだ。
節々に言葉が刺さり、毒が体を回る。
仮面をつけようとするが、指先が麻痺してもう無理。
次の月。
僕はどうなった?
すっからかんな顔の半分に仮面を縫い合わせる
「できたっ」
って思って鏡を見たらもう縫い目がほつれてる
ありがとう、僕に青春させてくれて
世の中の太陽の光の下を嫌っていた僕に
君はその光の素晴らしさを教えてくれた
ありがとう、言葉にできないよ
いつかこの口で言えたらいいね
パチパチと光をとばし
落ちていく
静かに
そしてなんだか
切ない
それを見ていると
不思議と夏を
思い浮かべる
私はだぁれ?
夏になって君は変わった
あんなに好きだった地雷メイクをやめて
清楚でおしとやかになった
浴衣が似合うようになってしまった
渋谷にも秋葉原にも行かない
僕だけなんにも変わらず
変わっていく君をただ見つめていた
トカゲなのにトカゲじゃない
謎めく君は私の心を見事に射止めた
四六時中君のことを考えて出た答えは
「あなたは誰」
しっぽを切っただけじゃ君のことは分からない
ただし
そんなことを考えている私は
もう
君の虜
アルバムを見返していると
思い出が蘇ってくる
まるでその時に戻ったように
辛かったことも
嬉しかったことも
後悔も
楽しさも
全部無駄じゃなかったんだと
実感できる
さぁ、次の思い出のページを
作っていこう
コンコン。
私は先生の部屋の扉を叩く。
『どうぞ。』
中から少し冷たい声が聴こえる。
「私。」
そう言いながら、扉から顔を覗かせる。
『あぁ。君か(笑)。』
さっきの冷たい声が嘘かのような優しい声で言う。
「ねぇ、私だと思ってなかったからだと思うけど、すっごい冷たい冷えきった声だったよ(笑)?」
『しょうがないだろ……。』
先生は少し恥ずかしそうに俯く。
「先生も私と同じで好き嫌い激しいもんね(笑)。」
『で、何しに来たんだよ〜。』
「ほら、約束。そろそろ魔法見せてもらおうかなと。」
『どんな魔法をご所望ですか??』
店員さんのようにそう言うと、貴族のようにお辞儀をする。
「今日は暑くないのがいいな(笑)。」
『そんな都合の良い魔法なんてないよ(笑)。薬学にはね!』
「うん、なんとなくそうだろうなって思ったのよ(笑)。いつものやつ見せて?」
『おう。今日は材料を変えてやってみようか。』
「色が変わったりするの?」
『それは見てからのお楽しみ(笑)。』
先生はイタズラに笑いながら、少し大きい釜のような鍋を取り出す。
『アルが来る前に済ませるぞ(笑)?』
私は手伝いをしながらいつもの魔法(材料を変えているが…。)を見ながら、先生の細い指を見ていた。
いつもとおなじように綺麗な魔法と、先生の美しさをこのまま記憶の中で冷凍保存してしまいたいと思った。