赤児をみた
夕焼けをみた
冬の星座をみた
窓のそとがわで 世界は今日も進んだようだ
水滴をみた
水脈をみた
海をみた
この惑星の血液は 青くて
それでもやはり塩辛いのだ
涙と同じなのかもしれない
冬枯れの木々
踏切
アスファルト
電灯 月 星
光
夜
毛布
冷たい窓枠
ただ一人
己をみた
「…こちらにございます」
この辺りを治める領主、もとい少女をこの地に呼び寄せたあの屋敷の主人は、雪深い森の入り口で立ち止まった。
そして少女の方を向いて話し出す。
「配下の魔術師達が近くで見張っております故、どうぞ存分にお調べください…まぁ、真冬ですからそうそう領民が近付くことはありませんが」
そう言って少女達を促した。
「ご案内ありがとう」
少女はそう言いながら屋敷の主人の傍を通り過ぎ、森の中へ入っていった。
使い魔も少女の後に続いていく。
暫くの間、少女達は黙って新雪の中を進んでいった。
しかし、少女はある程度進んだところで立ち止まる。
「…あいつ、逃げたわね」
そう呟いて、少女はもと来た方を向く。
「まぁ、あれでも貴族なのよね…弱小だけど貴族や魔術師同士の覇権争いで忙しいから、精霊なんかに命を奪われる訳にはいかないものね」
まぁ、邪魔が減ったからそれで良いんだけど、と少女はまた前を向いて歩きだす。
しかしすぐに足を止め、思い出したように振り返る。
「…そういえばお前…名前は?」
少女の後方にいる使い魔はふっと顔を上げる。
泥試合 それでも僕らは負けた
ジャブからのフェイントからのアッパー
運命の潔いほどの気まぐれ
よーいどんで先に出るなんてマネをする
未来の僕が垣間見えて泣きそう
解けた靴紐に絡まるリアル
どれだけ磨いても、ピントを合わせても
ハッキリなんかしない理想
それでも続いてくれ 出来れば1億年か2億年
一等星よりも輝く三等星 僕らは美しい
誰に何を言われようと僕らはモンスター
今日も
"沢山の人に向けて" 笑いかけてくれた君
私にとってはたった一人の君
今日も元気貰ったよ
ありがとう
あなたの
思い とか
努力 とか
沢山知ったから
こそ
かっこよく見えるんだろうな
なぜ、いつもいつも
苦痛と苦しみと死にたい願望で
埋め尽くされているのだろう?
なぜ?
何故かって?
それは、この世界は弱い人間には苦しく歪んで
見えるからだよ。
ふふっと、貴方は笑った。
貴方もきっと歪んだ世界に耐えきれなかったんだ
ろうね、教えてくれてありがとう、またね。