「…で、話って何?」
そう言ってナツィは珍しくグレートヒェンの方に目を向ける。
その様子を見てから、グレートヒェンは用件を話し出した。
「まぁ作戦会議と言った所よ」
あの精霊をどう追い詰めるか、明日何をするか、とかね、とグレートヒェンは微笑む。
「とりあえず、今日の調査だけじゃ分からないことが多過ぎるから、明日も森や集落の調査をしようと思うの」
ある程度出てきた跡が残っていれば、現れる場所の法則性を掴めるし…と言って、グレートヒェンは話を止めた。
「…話、聞いてる?」
知らず知らずの内に俯いていたナツィは、びくっと顔を上げる。
「眠いの?」
グレートヒェンはそう尋ねながらナツィの顔を覗き込む。
当のナツィは気まずそうに視線を逸らした。
その姿を見て、グレートヒェンは静かに呟く。
「…”ナハツェーラー”は寝ないと身が持たない、か」
まさかとは思ってたけど、本当だったのね、とグレートヒェンは苦笑いする。
私は たぶん 魔法使いに出会った。
空気が痛いと感じたのは、きっと寒いだけが理由ではない。
何もかも上手くいかず、ほとほと自分に嫌気が差しさえしていたベンチに座る少女。
「こんにちは、お嬢さん」
物語が、始まる。
溶けそうな夜の、その隙間
蛍光灯はじじと鳴って
今そのペンが織り成す
何万キロを走る
あなたしか知らない言葉
は、いつの間にか紙くずとなって
青く白む空に
ふぅ、と舞った
あまく とろけて
ふわりと まって
ぱっと きえかけた
わたしの ゆめは
いまは あのひとの てのなかに
そうっと しまわれて
かがやいています。
先生は
教壇に立って語ってる
この世界からあぶれる
人たちのことを
…そう マイノリティー
ちゃんと聞いてたら、
傷つきそうで、
ボロが出そうで、
今日も私は、
上の空。
貴女が隣で笑う未来、
想像して。
忘れ物が何なのか
今ではもう思い出せない。
確か
「信頼」とか「感謝」とか
そんな気持ちだったと思う。
私の胸の中にある気持ち。
いくつか落としちゃったみたいで
ぽっかりと大きな穴が開いてしまった。
何処に落としてしまったんだろう。
『新た』な「愛情」が生まれる中
「信頼」を亡くしてしまって
どうしようか。
いつか
新しく
見つかるといいな。
夢を見た
何の夢かは覚えていないけれど
どんな夢だって
それでいい
夢は、わすれるもの
ふわふわしてて、掴み所がない
空に流れる雲のように
でも、確かにある
掴めないだけで、そこにある