日射しの音に耳をすます
私の少し後ろで
『ーーーーー』
そう呟いたあなたの
瞳のなか、さらには奥を
覗きこんでみたかった
君が車を運転できなくても
椅子から立てない占い師でも
しゃがんで見つめて笑いあって
一緒にいきたいと思った
僕らのことはいつでも
風がわかってくれている
いまは会えないけど大丈夫
ずっと先、海を見渡すあの岬で
ご丁寧に部屋の隅で体育座り
まだまだ待つ日は続くばかり
窓の外、緑の雫が
目尻に落ちてしまったようで。
ね、大切なことは何?
どうしていつも言わないんだろ
大切なことは 粘土みたいに流れていくのに
なんで惜しくなって
言いそびれて さびしくて
それも君のせい ほらそうやって見つめるから
ねえ大切なものは君
スピード&ダウン 繰り返すロマンス
ドラマチックに描けたらいいのに
テキトーじゃ悲しいよ
適当じゃ苦しいよ
ずっと一緒にいたいのは
たまにこすれて痛いから
『ショートポエム賞』
「獏」 Tohofantasy
>>>この作品ははたった15文字にも関わらず確実に「詩」で考えれば考えるほど広がっていき、ショートポエムというコンセプトからしても素晴らしい作品だと思い選ばせて頂きました。勿論単純に字数が少ないということではなく、15文字の中に情操を生み出す技量がすごいと思います。
獏が食べてくれたのは睡眠時に見た夢なのか、それは悪夢なのか、いや悪夢とは限らない、或いはもっと違った意味の夢だったのか、それはどんな夢だったのか?深読みなのですが作品には「ぼく」以外出てこないのに「ぼく」以外の人物の存在さえ考えてしまいました。そして「食べてくれたんだね」という表現には優しさ、哀愁、安堵、色々な筆舌しがたい感情が感じられます。
『立体詩賞』
「無意識下の心象風景」何かが崩壊している者
>>>文字の集合に過ぎないのにタイトル通り立体の「無意識下の心象風景」に入り込んで深層を揺蕩っているような感覚がします。自分の精神は自分で理解しているような気がしてでももっと奥深くの精神世界は底が知れず自分でも分からない、そしてそこは無闇に掘り返すべきではない領域だったと掘り返した後で知る絶望。
平面の記号の集合に過ぎないのに人を引きずり込むような立体感に惹かれました。空白の使い方や改行の仕方が違えばまた違う心象風景が作り出せたのかと思うととても面白いと思います。恐らくこれはパソコンで書かれたのかと思いますがスマホ版で見ても良かったです。
受賞者の皆様おめでとうございます。