メジャーのない距離感
思わず息を吐くような
切なさが喉を擽るような
吐き出せる無神経もなく
ただまだ飼い慣らすまで
ずっと追い求めていたのに
気持ちは変わりやしないのに
ひとつ口にしたもので
崩れるような感情に育てたのは
僕だよ
あれから数日たった。元の世界に戻りたい、誰かに会いたい、嫌と感じることなどもない。外も好きなわけではないから困り事もない。
レイノは傷の手当をしてくれる。あと、ちょくちょく髪をいじられたり目が合うと微笑んでくれる。きっと、いい人だ。
そんな事を考えていると、レイノと目があった。
また微笑んでくれるのかと思いきや、今日はやけにニコニコしていた。
私がきょとん、としていると
「リトの目、きれいな青だからアタシすごく好きなんだよねー。人間にしては珍しいし。」
そう言いながら私の隣に座ってきた。
「目、好きって言われるの初めて。」
「そうなの!?こんなにきれいなのに!?」
「うん。」
私の目が好きって、レイノは変わってるな。
「あとね、髪も好き。深い緑で、くせっ毛で。こんなきれいな緑初めて見たし、アタシはストレートだからくせっ毛触るの新鮮で楽しいんだよね。」
髪も好き、か。また、初めてのこと言われた。
それと私なんかよりレイノの真っ白でサラッサラのストレートの方がきれいだと思うな。
「あ、リトも髪長いんだからたくさんおしゃれしようよー。
、、、リト?大丈夫?」
一瞬、ぼぅっとしてた。
「大丈夫。ありがとう。私もたくさんおしゃれしたい。」
「うん!これからおしゃれしようね!」
こくこく、とレイノの言葉にたくさんうなずいて返した。
辛いことを 苦しいことを
全部、無かったことにしようと
溢れだした涙で
全部、流してしまおうと
思っていたけど
やっぱり、難しいね