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苦くて二度と味わいたくないもの。

わかったことはわかってなくて、
諦めたことだけがわかったことになるの、
という切ない話をしようか。

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静謐。

青い夜、観測地点のレイトショー。
月がなくとも、家々の灯りが街の点在を報せる。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑪

ぴく、と彼は反応する。
彼はあまり見られたくないのか、抱えている濃い灰色のネコをこちらから見えないようにした。
「ていうか、フード…被っていないんだね」
彼がいつもはパーカーのフードを被っているのに今は被っていない事に気付いたわたしは、何気なくそう言った。
彼は言われるまで気付かなかったのか、慌ててフードを深く被った。
「…」
いつものようにフードを深く被ったレイヴンは、無言でこちらを見た。
冷たい目を向けられて、わたしは凍り付いたように動けなかった。
暫くの間路地裏に微妙な空気が流れた。
…少しの沈黙の後、何を思ったかレイヴンはまた向こうを向いて歩き出した。
「あ、待って!」
傘…と言いかけた所で、彼は立ち止まった。
「傘、ないんなら入れば?」
ネコもいるし…とわたしは続ける。
「…」
彼は沈黙したままだ。
無視しているのかどうかは分からないが、こうなるのは何となく予想できていた。
嫌いな奴と帰るのは、誰だって嫌だろうし。
でもこの強くなり始めた雨の中、傘なしで帰るのはちょっとかわいそうだった。

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鉛弾

鉛を全部打ち込んで最果てまで飛ばして
それで全て満足して
ああ もうこれでお終いにしよう
僕らは疲弊し戦えない
後は君が花を捧げてくれるのを待つだけだ

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浅葱

君は僕を一人にするんだね
君は僕を愛せないみたいだ
だから僕も君を愛さない 愛せない
僕を独りにしないでおくれ

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淡い夢を見た
遠い遠い海だった
君はその海みたいに透けていて
そのまま奥に沈んでいった
歩けない地球儀みたいに
全てを丸めて飲み込んだ

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アウトバーン

国道508号線を駆け抜ける
狂った世界に狂った僕
青いトマトに君の真っ赤なウソ
狂った未来に追い付くんだ

エイトビートを嫌う君に告ぐ
睨んだ地球は僕に告ぐ
「シンプルイズベスト!!!!」
泣きたい心と泣けない僕に贈る 

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大丈夫

「大丈夫」、なんて
無責任な言葉
「君は大丈夫」だなんて
何も知らないくせに

でもね
君は大丈夫だよ
今がどんなに辛くても
明日がどんなに不安でも
この先どうなるか分からなくても
君は、大丈夫
ホントは大丈夫じゃあなかったとしても
それでも、大丈夫
大丈夫だよ

心の底からそう思えるんだよ
間違いなくそうだと言えるんだよ
君がそう思えるかどうかでなく
それが事実なんだ

それでも信じられないって言うなら
コップ一杯のお水と
白いお皿に愛を乗せて
ね、ほら
もう大丈夫

じきに朝が来る
怖がらないで
大丈夫、僕がいるよ
大丈夫、大丈夫だから

わかった?

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How

文字だけが留めてくれて心の白羽
ゆっくり夢となってどうにか融かして
どうにもあの子のささくれが欲しいな
ぴって取ったら血が出ちゃうし
放っといたら痛そうだし
まだ乾燥の季節だし
あんなピンセットがあればな、とか思う
どうして嘘はつけないほど純で
こんなこと考えてんだろ

あそこに戻り蘇る無言の世界線
またすぐ私を刺して こうにか創って
今頃あの人誰を知ってるの?
未だ無知でいたいというのにあの人は
きっと、きっと、 ああ何も知らないのね
唯一がいいから知っていたかった
わからないでしょ、多分。
パッと忘れるとかできないし
縋ってる自分は怖いし
珍しく心底嫌だな本当さ
疑問ばっかでなにも出来ないの馬鹿だな
きっとそういうところもあって今があるわけで。

ずっと夢みててアラームも聞こえなくて
ただ熱烈に愛していた
やっぱり愛されるのは敵わなかったらしい
どうか、どうか、いつか、何故。