最後まで愛せなかった
最後だからって全部綺麗に見えた気になるのは嫌だ
でもあの場所は愛してた
後輩は愛してた
先輩は愛してた
仲間は愛してた
あの思い出は愛してた
もう簡単には入れない
もう着られない
もう戻れない
寂しさと、
感謝と、
不安と。
全部大事にして、次に進め。
「うーん」
欲を言うなら皆に付いて行きたいけど…とわたしは答えた。
ネロはえーっ、と嫌そうに言う。
「わざわざボクらと一緒にいる必要ないじゃーん」
「まぁ、そうだよね」
そう言うと思ってた、とわたしは苦笑する。
ネロはしょうがないとでも言いそうな顔で言った。
「…ま、ボクらの邪魔にならなければ、アンタの好きにしても良いんだけどさ」
「え?」
ネロの意外な一言に、わたしはつい変な声を上げてしまった。
「邪魔にならなきゃ良いんだよ、邪魔にならなきゃ」
皆は?とネロは他の3人に尋ねた。
「ま、良いんじゃね?」
「邪魔にならなきゃ別に良いぞ」
耀平や師郎はそう答えた。
「黎は?」
ネロがそう聞くと、黎はちらりとこちらを見た。
暫くの沈黙の後、黎は口を開いた。
「別にどーでも良い」
そう言うと、彼はスタスタと先に歩いて行ってしまった。
「おいちょっと待てよ」
そう言いながら、師郎は黎のあとを追う。
黎らしいな、と耀平は笑ってネロと共にそれに続いた。
流石、この4人は仲が良いな、と思いながらわたしは彼らの後ろを歩き始めた。
〈7.サイレントレイヴン おわり〉