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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ⑩

「俺の異能力との違いは、異能力の効果範囲を指定できるかどうかと、声まで変えられるかどうか、だな」
師郎はそう付け足す。
「俺の異能力は、効果が及ぶ人間を指定する必要があるけど、稲荷のにはその必要がない」
でも効果が及ぶ範囲を広げたり狭めたりはできねえんだ、と師郎は言う。
「あと、私の異能力は日暮のと違って声までは化けられないの」
化けられるのは見た目だけ、と稲荷さんは笑った。
わたしはへぇ、とうなずく。
「この通り、似たような異能力だから、小学生の頃から互いに競り合ってきたの」
「今んとこ5勝5敗だけどな」
稲荷さんの発言に、師郎はそう付け足した。
「とにかく」
ここで耀平は2人の顔を見た。
「対決さっさと始めよーぜ」
それを聞いた2人はそれぞれ、そうねとかそうだなと言った。

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しがつ

こんなにたくさん大好きがあっても
こんなにたくさんやさしい言葉をもらっても

結局、なんの準備もうまくできない
ふにゃふにゃの自分でまた「振り出しに戻る」なの、
さみしくて辛くてふがいない

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悪魔

心臓がドクドク跳ねている
原因は不安や恐れだろう
鼓膜にまで響いてきて、騒がしい

心に住みつく厄介な悪魔を退治できたなら
どれほど楽になるだろうか

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終わっちゃった

卒業式当日。スーツ姿で現れた、その男の子が
好きだ。なのに、ずっと、ずっと。思いを伝え
られなかった。どうしてなの?こんなに好きなのにな。