はじめて映画館に行った日、
音は身体を伝うのだと知った。
きみと話した日から、
きみ以外が騒音になった夏を。
あなたの音を頼りに また会えますか、
僕の全身にはきみが響いているのだけど。
青くて白いいちごが在りました。
誰にも摘まれずに、まだ肌寒い、つんとした風の中を。
孤独そうに、楽しそうに、揺れていました。
ある日そのいちごは、「言葉」と出会いました。
それは、幸せのカタチになりました。
それは、慰めの香りをまといました。
それは、心に波をたてました。
「言葉」の向こうには、沢山の人がいました。
その人たちの世界に触れて、
はじめて「世界」を知った気がしました。
世界は 広いのだと 知りました。
いちごは少しずつ色付きました。
自分の「世界」を創りはじめました。
自分を見つけられた気がして 嬉しかった。
でも
「世界」は広すぎて 迷いそうで 酔いそうで
ちょっと重かったようです。
掴めない理想を追ううちに、
現実の苦さを飽和する力を失いました。
いったん、りせっとしよう。
頼りない蔓に縋りながら揺れるいちごは、そう決めました。
だから。
しばらく、りせっとのおじかんです。
すぐ終わるかもしれない。
まだまだかかるかもしれない。
ひとまず、りせっとのおじかんです。
摘まれるまでに、帰ってきたいなぁ。
ほんのりピンク色したいちごは、そう夢見ながら、
今日も揺られています。
りせっと。ぴぴぴ。
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