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こんなことがあった話

ある人がある人に
そんなに生き急いでどうするんだい?と聞いたら
時は金なりと言われた話
時は金なりの意味ちゃんと理解してるのかい?と聞いたらわからないと言われた話
どうして自分の頭で考えないのかい?と聞いたら
そのつもりになってたと言われた話
口先だけで行動しないのはどうしてなのかい?と聞いたらどうせ誰かがやるからいいと言われた話
さて、明日はどんな話が出てくるだろうか?

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あの日僕は君と雲のすぐそばで笑っていた。その時は今から何時間前だろうと、数えその遠き距離にあぜんする。どんな風にしたら君が笑ってくれるかを、どんな風にしたら楽しかった思い出に僕が残るかと。いつも、そう思っている。ほかのみんなを笑顔にするのではない。僕は君が笑うために明日も

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能力者夜を往く その②

今気付いたけれど、彼女が持っていたのは馬鹿でかいノコギリだったらしい。刃を折りたたんでいるとはいえ、こんなもので殴るなんて、まともとは思えない。そして、そこそこ重そうなそのノコギリをあんな風にぴたっと止める筋力がこの少女にあったことも信じられない。
「……着いた」
土手をしばらく下流方向に進んでいると、不意に少女がそう呟いた。しかし、目的地らしき場所はどこにも見当たらない。
「着いたってどこに……」
その時、空中の何もない場所から、人間の腕が2本伸びてきた。反応する前にその腕は私たち2人の首根っこを掴み、どこかへ引きずり込んでしまった。
数秒視界が暗転した後、次の瞬間には、見慣れない屋内空間にいた。屋内空間と言っても、窓ガラスと天井の蛍光灯は一つ残らず割れているし、壁紙は剥がれていて、至る所に瓦礫とゴミが転がっている。建物というよりは廃墟って感じだ。
「ここは……」
突然のことで記憶が少し混濁していたけど、謎の腕に掴まれてどこかに引きずり込まれたことを思い出し、あの時掴まれた首の後ろに手をやる。謎の腕はまだ、自分たち2人を掴んだままだった。
「あっとすまない。今離す」
そう言って手を放してくれた謎の腕の主は、声の感じからして男性なんだろう。振り返って顔を合わせてみると、そこにはやけに背の高い男性がいた。いや、自分の身長と比べてみると、175㎝くらいだろうか。さっきまで見ていた少女の背丈がいやに低かったから、目が慣れていないんだろう。
「突然こんなところに連れ込んでしまってすまんね。俺の能力はちょっと特殊だからな」
「はぁ……」

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人の見方

「あの人は誰々にだけ優しい」
そう嫉妬する時がある
でも見方を少し変えてみよう
「その人と話す時だけ素のあの人が出ている」
のだと、そうすればあの人は悪くないって思える
自分が見ている一面を本質と思わないこと
いい一面を探すこと
コミュニケーションの壁って
そうやって穴を開けていくんじゃないかな

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 11.ゴブリン ①

この街に、夏がやって来た。
学生服は夏服へと切り替わり、商店街の定食屋には”冷やし中華始めました”の張り紙が見られるようになった。
駅の自販機でアイスを買う人も増えたような気がする。
…もうすっかり夏である。
わたしはどうかと言うと、相も変わらずだった。
学校では1人、退屈な時間を過ごすことが多いままだ。
時々数少ない友達と連んだりはするけど、なんだかんだ1人でいる事の方が多い。
でも、それで良かった。
最近は週末に”彼ら”と会う事が楽しみとなっていた。
わたしの知らない世界を生きる”彼ら”と他愛のない時間を過ごす。
それがわたしの数少ない楽しみとなっていた。
…もちろん、毎週のように”彼ら”と会っている訳ではない。
今日のように、会わない日もあるものだ。
今日のわたしは、ショッピングモールではなくいつもの駄菓子屋に向かっていた。