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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 13.リャナンシー ⑲

師郎はこちらをちらと見る。
「おや、お前さん気付いていなかったのかい?」
あれ俺が化けてたんだぜ、と師郎は両目を暗緑色に一瞬光らせる。
「そ、そうだったの…」
わたしは思わずポカンとする。
「まぁ、それはそうとして」
師郎はりいらちゃんの顔を覗き込む。
「…とりあえず、事情聴取と行きますかね」
りいらちゃんはひぃぃぃとすくみ上がった。

寿々谷公園の川沿いのエリアにある土手にて。
午後7時を回った所なので、もう花火が打ち上がり始めていた。
「はい、ラムネ」
わたしは土手の斜面に座る小柄なうさ耳パーカーの少女にラムネを手渡した。
少女は黙ってそれを受け取る。
「ねぇ、りいらちゃん」
どうしてあんな事してたの?とわたしは尋ねてみる。

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あなたへ

反対から押し寄せる荒波に
私は何をするために生まれてきたのだろうか
ふわりふわりと風がなる
花びらが舞うようなそんな恋で良かった
もっと辛くなる前にその風に押し流されたい

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強引に、幸運に。

きみがゆく道の横断歩道全部青にしたい
ぼくがとなりにいるときだけ赤にしたい

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好きな人

そっか
好きな人いるだ
僕にも好きな人はいる
それは君だよ
そんなこと言えないだよね
君の好きな人と遊べて楽しかったよね
僕はあんまり嬉しくなったけど
僕は君だけと遊びたい
結局今日両思いってことに僕だけが気づいた
僕は君を諦める
君はその人に告白して付き合っていい人生にしてね
僕は諦める
最後に
僕は君が大好きだったよ、ずっと一緒にいたいと思った
今までありがとう

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今自分で作ってる曲のサビ(未完成)

僕らは 奏でる
そして静かに息をする
孤独も 悲しみも 全部ここに抱いたまま
この肌焼かれる ほどの火を心に灯したまま
僕らは 平等にくる明日に向け手をのばす

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無能異能浪漫探訪⑪ 降霊準備、ヨシ!

「あ、いっすよ。さて、ご存じの通りこのやり口、一人じゃできないくせに部外者もいちゃいけないわけなんですが……協力してくれる方、いませんかね?」
「私たちは当然、参加しますが」
目つきの悪い方が言う。もう一人も力強く頷いている。まさかの同好の士か?
「私もやるー」
トモちゃんも乗ってくれた。
「トム、どうだ?」
弥彦氏に呼びかける。
「……あ、うん、やる」
彼がそう答えた直後、二人組が露骨に嫌そうな顔をしたけど、多分気のせいだよな?
「……俺は興味無い。1時間も席を外してりゃあ足りるか?」
怖い目つきの男性がそう言ってきたので肯定で答える。彼はそのまま出ていってしまった。
「それじゃあ……全部で5人。すぐ準備しますんで、少々お待ちください」
肩掛け鞄から、専用の紙を入れたクリアファイルを取り出す。
「え、何、その紙持ち歩いてんの……」
弥彦氏がやや引いた感じで訊いてくる。
「そりゃ勿論。呼ぶ手段も祓う手段も常に持ち歩くようにはしてんのよ」
「へぇ……」
床に直接用紙を置き、鳥居の絵の上に財布から取り出した10円玉を乗せる。偶然にも昭和44年製のやつだった。これは上手くいきそうだ。
「まあ、準備なんてこれっきりなんで。さ、10円玉に指を置いてください」
俺に続いて、二人組、トモちゃん、弥彦氏、双子が10円玉に指を置く。
「……ん?」
最後に指を置いた二人の方をもう一度見る。弥彦氏や2人組よりも更に幼い、ギリ小学生か中学1年生かってくらいの二人組。男女だけど結構似てるから多分双子。向こうも見返してくる。
「……誰?」
いや、そういえば靴の数と人数がこれまで合ってなかったな。こいつらが残りの二人か。

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痛み隠す仮面

人は決して完璧なんかじゃない
誰かにとっての正しいことが
誰かにとっては間違いかもしれない
罪を犯してでも守らなきゃならない時だってある
だからいつもこの言葉を胸に刻むんだ。

「罪は消せない、背負って生きていくしかないんだ、
たとえ孤独でも、命ある限り戦う」

それがヒーローだから
いつか届かなかったこの手を今度こそ届かせるために
涙を隠して今日も…

「変身!」