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薔女造物茶会 Act 4

どこにでもありそうな小さな喫茶店が入る建物の屋上。
そこにふわりと黒い人影が降り立つ。
黒い羽を生やした”それ“は、屋上に降り立つとともに背中の羽を消した。
そして屋上の塔屋に入って行った。
「…」
屋上の塔屋の中の階段を下り、黒い人物は物置のような部屋に入っていく。
部屋の中には古びたテーブルがあって、その周りでどこか異質なコドモ達が談笑していた。
…と、黒い人物に誰かが勢いよく飛び付いた。
「ナツィ‼︎」
おかえり〜と金髪に角が生えたコドモが黒い人物に抱きつく。
「おやつ買ってきた⁇」
金髪のコドモは笑顔でそう尋ねる。
「…一応」
それはいいからとりあえず離れろ、”キヲン“と“ナツィ”と呼ばれた黒い人物は言う。

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寂しさを愛する

夜が更ける…
僕が電車で過ごす2時間は
街の喧騒を奏でた
大きな背中とともにある。

でも電車を降りるとそこは
静まり返ったいつもの街
通る車は割増と表示されたタクシーくらい、
僕は思いきって車道のど真ん中を堂々と歩く。

あぁ、この道ってこんなに広かったんだ

夜にしか出会えない街の姿に
不思議な感動を覚え
虚空に響く吐息に
不思議な感慨に耽る

我に帰れば全てが寂しさの表裏一体なのだ

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ミュージック

何だか勝手に手が動く。
といっても何も目的はなく、結果はない。
大好きな音楽を失い、はや一年。
心は空白でしかなかった。
あのメロディーと、歌詞と世界観と。
すべてが愛おしくって、涙が出る。

世界が、洗脳されてしまったんだ。

『音楽は悪魔だ』

そんな言葉を繰り返され、世界は音楽を嫌い、音楽を作り発信する者は何らかの形で罰せられるようになった。

世界から、音楽が消えた。

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ネオポラリスティック

僕が老いぼれてヨボヨボになった時
きっと今頃の事を思い出して言うだろう
「あの頃は良かった」

この惑星はもうただの粘土と化して
今頃きっとビッグバンを思い出し言うだろう
「あの頃は良かった」

僕は偶然に恋して
何億回と星を産むだろう
そして現世と駆け落ちする
炭酸も抜けたコーラで口が怠くなる頃
隣の奇跡に一目で惚れて
何億回と星を産むだろう

ラララ 二度と死ぬことは無いだろう
何故なら宇宙のエナジーは万物と恋に落ちる

ららら ラブレターは二万光年先からの信号
君には死んでも亡くならぬ恋があるか? 

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冬の足音と朝

東向きの窓から優しい朝日が差す
鳥のさえずりと生活音
布団の中で朝を迎える
顔を洗って
その冷たさに思わず笑う
「あぁ、もう冬なんだ」と。

いつも通りの朝に冷たさを添えて。
でもその中にも暖かさもあって
それは例えば
「行ってらっしゃい」の声だったり
「おはよう」の声だったり
笑い合う毎日だったりする。
寒いからこそ、その暖かさに気づけて
苦手だけど、大切な1/4

「じゃあ、いってきます」