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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 14.ヌリカベ ㉓

「そんな」
わたしは思わずそうこぼす。
でも思い出してみれば、あの時鷲尾さんが坂辺さんのことを見ていたのはそういう事だったかもしれない…
わたしはそう思った。
「んで、どうしてこんな事したんだ」
関係ない人にとっては迷惑だぞ、とネロは言う。
「それは…」
坂辺さんことヌリカベは恐々呟く。
「不見崎さんに、1人にされたくなかったの」
わたし、前いた所には友達ほとんどいなかったから…とヌリカベは続ける。
「でも、寿々谷に来て、不見崎さんと仲良くなって、わたし、嬉しくて嬉しくて…」
ヌリカベはワンピースの裾を握りしめる。
「だから、独り占めしたくなった」
それで他の人に邪魔されたくなくて壁を張ったの…とヌリカベは震える声で言う。
「なるほどな」
だから初めて会った時に異能力を使ったのか、と耀平は腕を組む。
「じゃ、じゃあ、どうしてさっきわたしが席を離れた時に異能力を使ったの?」
邪魔する人はいないよね…とわたしは彼女に尋ねる。

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お風呂

風呂に入るタイミングが中々掴めない…
ウチは家族が多いから、入ろうかなと思ったら他の人が入ろうとしてたりするし。
今日は入るのが遅くなりそう。

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拗らせループ

君は浮気してたんだね
恋人がいるクセに ワタシがいるクセに
ワタシ 本当は許せないんだよ?
 
赤い糸はぐるぐる絡まって
結局どこへ向かうのやら
 
「それでもいいんじゃないですか?」なんて
ニコニコ笑う君からは 罪の香りがしたね

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ユーラシア大陸縦横断旅65

今回の旅が恋人と2人旅だったので見栄を張って彼女の分も俺が支払ったところ予想以上に出費が多く、仲間達からカンパしてもらわないと成田空港から出られないレベルの金欠になったことに気付く
そのため、急遽川沿いの観覧車に乗るための行列に並んでいる間に今回の旅を計画する時に協力してくれた仲間に電話で相談すると「岡山と松山、新城から8人のメンバーで君の救援として明日の朝一の便で桃園から飛び、午後3時頃成田に着く予定を既に組んでる。俺は新城組に帯同して東京へ行く」と頼もしいことを言われた
「岡山〜松山は早ければ2時間ちょっと、新城〜松山でも早ければ1時間ほどで着くだろ?」と訊くと「そうだな。俺達は5分ほど前に復興で松山組と合流したが、他は岡山を出たと3時間前に連絡が来て以降何の音沙汰もない」と言われた
「なら、出費抑えようとしてくれて在来線乗ってんだろ?だとしたら、岡山〜松山の時間考えると多分今頃清水だろ」と返すと「今連絡が来たが板橋に着いたそうだ。詳細は追って連絡する」と言われて電話が切れる
「新庄から松山まで1時間ってどうやって行くの?」ともっともらしいツッコミが飛んでくるが、彼女はとんでもない勘違いをしている
そう、俺が電話でやり取りした相手は日本にいるのではなく、台湾にいるのだ
台湾が日本統治下だったのは有名だが、現地入りした当時の日本人が日本風の地名を付けたことは台湾に詳しい人でないと知らない
美濃、岡山、清水、板橋、松山、新城、瑞穂、松浦と言った地名が今でも残っており、普通に日本語読みすれば現存する日本の地名と同じため台湾渡航経験のない日本人なら位置関係のおかしさに気付き、すぐに指摘するというお約束の勘違いをするのだが、彼女も全く同じ状態なので笑ってしまった
ゴンドラの中でGoogleマップで台湾の地図を出して説明すると彼女も自分の勘違いに気付き、頬を西日の色に同化させて笑い出す
中心街のライトアップも始まる頃に俺達が頂上に来るや否や4時の鐘が鳴る

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じゃますんな

あのこが大人になるの
今夜彼の手を引くの

そしたら春になる頃
街の男の目を引くの

関係ないのに かなしくなるのは
君が彼より先に 彼女を汚したからさ
君の中で

ガマンを覚えるの
辛いこと隠すようになる

そしたらそれを見抜いて
大事に撫でてあげるの

上手くいくならば 困ってない
彼が僕より先に 彼女をなぐさめるのさ
腕の中で