0:00
そう画面に表示される瞬間
『始め!』
の掛け声よりも早く一斉に術の撃ち合いが始まる。
と言ってもそれがわかっていれば
かわすのは容易である。
何せ、ここに集まっているのは
<時>の能力者達。
術が直接的な攻撃では無い。
時を止める。
巻き戻す訳にはまだいかないので皆それを選ぶ。
あとはタイミングと術痕さえ見分けられれば十分に対処は可能だ(多分)
さぁあと1秒…
0:01を表示したモニターは
0:00に変化した。
放送のカフが入った音がする。
見た未来通りなら…
『始め』の合図よりも前に
術が起こる。
確か…
僕の右斜め40°前…それから…
景色が止まった。
その余波が起こる。
すかさずその波動の隙間に飛び込む。
横で同じ動きをする智也の姿。
「さすが、まずは第1関門突破かな」
「あぁ、お前もさすがだ」
術は回避できたようだ。
しかし気は抜けない。同じことができるやつはそれなりにいるはずだ。そいつが直接狙ってくる可能性もある。警戒心を解くな…
しかし予想に反してその関門クリアは多くない。
「あれ?おっかしいなぁ、確実に全員止められるように術のタイミングずらしたのに、なんで動いてるの?」
あいつが術の主か…
「まぁいいや、50人には達してなさそうだし、1人ずつ倒せば」
こいつ…狂ってる…
これが…【サバイバル】
最近スマホの調子が悪い。
画面すぐ固まるし、文字化けなんて日常茶飯事。
ぐるぐる輪っかは永遠かってくらいに回ってる。
でもほら、スマホのバグ、って
画面を連打したりすると良くないらしい。
ゆっくり、ゆっくり落ち着いて、
直るのを待つと良いんでしょ?
それでも直らないなら、専門の人に見せるべき。
きっとそれは
私たちだって一緒。
無機物の物でさえエラーを起こすんだから
私たちが起こしたって何も不思議じゃない。
ゆっくり、ゆっくり落ち着いて治せば良い。
取り返しがつかなくなる前に
専門の人に会いにいけば良い。
ねえ、そうでしょ?
リズミカルに歩く君。
初めはついていけてたけど。
肩を並べて話せたけど。
ちょっとだけ疲れてきたな、なんて思って。
ちょっとだけ気を抜いてみたら
君との距離が広がって。
追いつかなきゃって走ってみたけど
あれ、なんで私走ってるのって
気づいちゃったからもう終わり。
タッタッタッのリズムの君。
テケテケテケのリズムの私。
距離は離れて今はもう追いつくことは無理だけど。
一周回ってもう一度
肩を並べる瞬間を、私ずっと待っている。
「……暑いね」
偶然そこらで遭遇してから道連れになった異能者が呟く。多分俺に話しかけているんだろう。小さく頷いて応える。声に出して応じる余裕なんぞ残っていない。
その理由は何と言ってもこの環境だ。確かこの辺りは、人口10万人弱のそれなりの規模の町だったはずじゃないのか。なんだって建物一つ見えない砂漠と化していやがる。
「今2月だよ? 冬将軍はどこでサボってるのやら……日陰、無いかなぁ……」
見りゃ分かるだろうよ。地平線の向こうまで、砂でできた平面と丘しか無い。
「…………ああそっちじゃないそっちじゃない」
道連れが俺の腕を引いて、数度進路を変える。
「何すんだ」
「いやぁ、水源に向かうのは良い。それはあり。でも、離れる方向に行くのは良くないよ」
「…………?」
何を言っているのか分からん。
「あれ、言ってなかったっけ? 私の異能、『水の観測者』。水源までの距離と方角が分かる」
そういや会った時に何か言ってたような気もする。
「砂漠で遭難した時ぐらいしか役に立たないと思ってたけど、まさか日本で砂漠で遭難する機会に恵まれるとはねぇ……鳥取以外で」
「鳥取に砂漠は無い。ありゃ砂丘だ」
「あれ、そうだっけ」
「ちなみに日本一デカい砂丘は青森にある」
「何で知ってるの?」
「高校で地理取ってるから」
「へぇ」
畜生、無駄に喋ったせいで体力削れた。
わたしはいつかは死ぬ 長い年月を経て
その中で 私に与えられた使命をどれほど こなせることが出来るのか どれほどの人を守ることが出来るのか
私だって人間です
手の届かないところがあるかもしれません
でも、それでも
守りたい
わたしの守りたいもの それはあなたです