別に、間違いだなんて言ってない。
誰しもそういうところはあるし。
全て自己完結の世界も微妙だったりするし。
たださ、真似しすぎもどうなの?
いやいや、違うの。別に変な意味ではないの。
きっとあの子の言葉を君は、
いいなあと思ったんだろうと分かるの。
そういう生き方もきっとあるんだと思うよ。
でもさ、見ていてやっぱり思っちゃうよ。
君の見てるその世界は
誰のフィルターがかかった世界なのって。
それって君が君でいる理由が無くなるのでは?
あぁ、それでも良いんだ。
君が良くても…ねぇ?
え、自覚はあるんだよね?
まぁ、確かに関係ないんだけどさ。
でもね、君を見る度、思っているよ。
君らしい良さがあったのに、なんてね。
あいつを腕で拾い上げて首の後ろに乗せ、翼を日陰にしてやる。
「わあ快適。最初からこうしてくれれば良かったのに」
「図々しいなお前。捨ててくぞこの野郎」
「女郎なんだよなぁー……あ、やめて日差しが痛い」
ちょっと翼を開いて懲らしめてやった。すぐに閉じたが。
「まあ大人しく方向をを教えてあげることにしよう。とりあえずそのまま12時方向へー」
「了解」
奴の指示に従って歩き出す。俺の異能『怪獣の指揮者』によって変化したこの身体は、皮膚が熱を遮断するおかげで、サイズの割に暑さに対して快適なんだ。
「……あ、マズい」
「ん、道を外れていたか」
「いや……私の方に問題が」
「どうした」
「この暑さは良くないね。体力がもう……。手、出して」
首の高さまで手を持っていくと、あいつがそこに手を重ねて、また離した。
「あとは……それ見て……」
手の中を見ると、透明な液体が針状に固まっている。
「何だこれ。水か?」
「私の汗」
「気持ち悪ッ」
「失礼だなぁ……。私の異能で、それは……コンパスの役目を果たす、から……」
「……おいどうした」
「体力温存のために、寝ます……」
「寝るなー、寝たら死ぬぞー」
雪山じゃあるまいし、くらいは言い返してくると思ったが、何も返事が無いあたりマジで寝たのか。どうやら相当参っていたらしい。
鏡の中の私はいつもの私だった
渡したはずの片耳が耳元に帰ってきてた
幸せなラブソングばかり歌うあなたと
不幸なラブソングばかり歌うわたし
性格が歌に出ているみたいだね
私の歌うフレーズで顔見合わせちゃって
今の俺達みたいだねなんて笑ったよね
あぁもうどうでも良くなっちゃった
あぁそれでも歌は終わらない
あの終わりのコールが聞こえないように
2人でもっと歌を入れていこう
ほら歌は尽きないから
愛は尽きても止まらないから
あぁコールが鳴った
鏡の中の私は知らない私だった
渡した手紙はちゃんと捨て去ってね
ケムリを吐き出したあなたとそれを眺めているわたし
吸う?ってあなたは差し出したね
凹凸がハマッて瞳から涙がこぼれて
まだ頑張ってほらまだなんて笑ってたね
あぁどうでも良くなっちゃった
あぁそれでも快は終わらない
あぁ終わりの時間が見えないように
もっと見つめていよう
ほら哀は尽きないから
愛は尽きても止まらないから
あぁ針が2回廻った
いつもと同じルートいつもより長く時間を稼ぐ
今日で最後だからイミない話する
あぁもうどうでも良くなっち った
あぁそれでも命は終わらない
あわせーので振り返えらないで
なんでて最後の約束は守れずに
ほらシャッターを切った 糸は切れなかった
あぁ雨が降ってきたんだ
あぁ
帰り道は楽しくて
今日何があったっけ 誰がこんなこと言ったっけ
くっきりと君の顔
ケーキよりも甘くて
コーヒーに合う日々を
神はこう仰った。
この世界を300年後に破壊する
理由は人間自身が1番よく知っていると。
さらに神は私にこう問いかけなさった。
人間にこの先を生きる価値はあると思うか?
私は迷いながら
それは生き延びねばわからない
と申し上げた。
すると神は私にこう告げたのです。
救うべき人間を選び、方舟を作れ
その材料は既に人間自身が持っていると。
私は考えた。
方舟の材料とは何なのか、
そして人間の生きる価値とは何か
これを考えるにあたって
人間という種について確認したい。
人間は1人では生きていけない。
言うならば
複数不完全個体である。
互いに補完して初めて種として生きるのだ。
私の考えはこうです!
この補完こそが人間の生きる価値である。
それはボランティア、祈り、優しさを分け与えること
もしかしたらもっとあるかもしれません。
今、あなたの頭には何が浮かびましたか?
自分がしたことですか?
それともしてもらったことですか?
その優しさが輪を作り、方舟を作るのです。
できることなら私は全ての人を救いたい
その優しさという方舟の材料を全ての人が
分け合えること。
私はそんな世界を望んでいるのです
「殺す…?随分生意気な口を聞くんだね」
「生意気かどうか、自分の肌で確かめてみるんだな」
そう強い語気で言ってはみるが、正直勝てる見込みが全然ない…
この拳しか武器はない…
術は相手が格上…
見ろ…見るんだ…
どんなに小さな隙も見逃すな…
未来予知、術痕に全神経を注げ…
心拍数は着実に上がっていく
「お前の術は…つまらん」
先程と同じように左手をこちらに向けた。
今だ…
時間停止の術が起こる。
見え見えだ…かわせる!
その術をかわし、右手の拳を振りかざす。
当然相手はその拳を後ろに下がってかわす。
この硬直を狙って術を発動することも予測したが、それはなかった。
よし…ここから左ストレートを囮に…
そう思って左に拳を作る。
その瞬間動きが止まった。
何故だ…相手の術は全て見ていた、相手は今術を発動していない…
じゃあ何故…
「お前は今1人で戦っているのか?」
停止させられた俺の左拳をポンポンと叩きながら相手は不敵に笑って言った。
まさか…
振り返ることも叶わず、確認はできない。
それでも相手の笑みは雄弁に答えを教えた。
智也の術だというのか…
その答えにたどり着いた途端、停止が解除された。
「智也…お前…」
「ごめん!あいつに向かって術を発動したつもりが…」
「そうじゃない、お前術を…」
智也は静かに頷く。
「あぁ、騙して悪かったな、俺のは守と同じ能力なんかじゃない、干渉者ってやつだ」
「じゃあ、術をかわしたり、未来予知とかはどうやって…?」
「術をかわすのは守のタイミングを見てかわすか術に干渉すれば容易、未来予知は演技だ…」
「そんな…」
「でも別にお前を貶めたかったわけじゃない!俺は純粋に50人集めて平和的に生き残りたかっただけ…」
「どうだっていい!結果としてお前は俺に術をかけたことに変わりはない!」
「だからそれは事故で…」
「事故か…自責の念というのは面白いな」
突然相手が笑い出す。
「何?」
俺は驚くが、智也は相手をキッと睨んだ。
一体…何が起こっているのやら…