「まぁそんな事は置いといてさ」
ここで耀平は話に割って入った。
「ネロ、学校はどうだった?」
耀平がそう尋ねると、ネロはあー…と目を逸らす。
「…クソだった」
「やっぱり?」
耀平に聞かれて、ネロはうんと返す。
「先生も、生徒も、皆クソだったよ」
ネロはそう淡々と言って立ち止まる。
「…やっぱり、学校は行くもんじゃない」
ネロはポツリと呟いた。
「…ねぇ、ネロ」
わたしはふと気になる事があったので、聞いてみることにした。
「どうしてそんなに学校が嫌いなの?」
何かあったの?とわたしは尋ねる。
「…」
暫くの沈黙の後、ネロは口を開いた。
「別に、アンタが知る必要もないよ」
ネロはこちらに目を向ける。
ふつうの夜の難易度 あげてくる
ふつうのミスの積み重ね
カンタンな罪 重ね
失われたこと
ふつうの夜の気温をあげてくる
無数のキスの積み重ね
カンタンに肌 重ね
指からめたこと
部屋の鍵かける 窓開ける
水こぼす 冷蔵庫ひらく
毎日が薄まっていく、見てみぬ振りをする訳でもなく、幸せの欠片を掴むこともなく、日々の普通に埋もれていく、そうしてだんだん鈍感になっていく、今の私たちがいる。