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輝ける新しい時代の君へ Ⅶ

「おもちはおいしかった。だけどはっぱはおいしくなかった。やさいはすきだけど、あれはへんだ」
 表情も声色もあまり変わらなかったが、いかにも美味しくなかったという雰囲気を醸し出していた。その様子に男は吹き出し、声を殺すようにクックックと笑った。
「なんだ、きゅうにどうした」
 少年が訝しげに問うと、男は右手を口元に、左手を顔の前方で違うという風にゆっくり振って「いやァ、ごめんごめん」と軽く謝罪した。
「だって君、桜餅の葉っぱは食べるけれど、柏餅の葉っぱは食べられたもんじゃないよ。あれは食べないからね」
「そうだったか」
 少年はほんの少し赤面した。顔が紅潮していることに気が付くと更に気恥ずかしくなってきて、「そんなことより」と話を変えた。その様子も滑稽で、ずっとニコニコと男の口角は上がったままだった。
「おじさんは、きのう何したんだ?」
「俺?俺かァ……俺はおっさんだから、面白いことは何もしないよ」
「しごととかは?」
「し、仕事?」
「うん」
 男は戸惑った様子で後頭部を掻いた。しばらく目を泳がせた後、「俺の仕事は、秘密の仕事なんだ。言うと大変なことになるんだよ」とおどけた。
「たいへん……?なんだそれ」
「い、いやァ……ははは……ああっ!もう時間じゃないか、伯母さん、待ってるよ」
「あ、うん」
 男は後ろめたいことでもあるように焦って言った。少年は釈然としていない様子だったが、勢いに押されて「じゃあ」と別れの挨拶をした。

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思い出とはじめましてと

あの日と同じように回るミラーボールに
あの日みたいに揺れる足元に
大好きな音に身を浸すはじめてな幸せに
指の先まで私のものではないように感じるのは
あの日君が言った、夢、って言葉が
しっくりくるからだろうか