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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ⑳

「元々アイツはクラスに友達があまりいなかったらしいから、突然学校に行かなくなっても誰も心配しなかったらしい」
耀平は続ける。
「…それでもアイツは完全に学校に行く事を諦めたワケじゃない」
耀平は後頭部に回した手を下ろす。
「さすがに中学校はちゃんと行かないと、進学に関わってくるからだろう…アイツは、中学にはちゃんと行こうとしたんだよ」
そのためにわざわざ同じ小学校の奴が通わないような遠くの学校に進学したんだ、と耀平は言う。
「でもさ」
耀平はテーブルに肘をつく。
「肝心のその進学先に、例の論手 乙女がいたんだ」
その言葉に、わたしは思わず何で?と尋ねる。
「何でって…偶然って奴だよ」
たまたまソイツがネロの進学先の学区内に引っ越しただけだ、と耀平は呟く。
「ついでに同じクラスになってしまったらしくて、ネロはどうにもこうにもソイツと関わらざるを得なくなっちまった」
その上、と耀平は頬杖をつく。
「ネロは論手 乙女から、あの時のいじめは自分が黒幕だった、と言われたらしい」
耀平は呆れたように言った。

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Hello Hello Hello

君がいたわけじゃない日々
君がいないわけじゃない夜

少しの間のさようならにも
気遣いできる 大人になりたい

タイムリー やがて春が来て
また会えるとは 思ってなかったような

鼻筋通った猫がゆく
路地裏抜けて アパート発見

マイケルジャクソン気取りで
路地裏ウォーク 荒屋発見

タイムリー やがて君がいて
また会えること わかっていたような

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輝ける新しい時代の君へ Ⅻ

 予想外の回答に「そんなわけ……」と言いかけたが、途中で止めてだんまりしてしまった。実際、そんな訳がないのだ。そんな理由で幼い子供を置いて来なくなるなんてことを彼はしないと信じていた。何か隠しているとも感じたが、考えるのは今の自分にはただただ無謀だと思った。それに、単なる直感ではあるが、追及しても誰も幸せにならなそうで、彼が言ったことは本当だと思うことにした。
 男は少年のいつもの黙り方と少し違う事に気付き、慌ててどうすればいいか分からず、目を泳がせた。一瞬少年の頭に手をやろうとしたが、それをする前に、何かを思い出したように引っ込めてしまった。代わりに、優しい声で「ごめんね、なんか変なこと考えさせてしまったかな。沢山生きているとね、たまにこういう気分になってくるんだね」と諭すように言った。その後、自分の気持ちを空気とともに入れ替えるように一回深呼吸をした。
「いやー本当にね、長生きすると色々思うことあるよ」
「おもうこと?それは、よくないのか」
「良くないことも多いけど、それだけじゃあないんだよ」
「たのしいのか」
「ウン、とってもね。坊やは本読むの好きだったね」
 少年はコックリ頷いた。
「長生きすると、たくさんの本が読める。今はまだ絵本とかしか読まないだろ」
「かん字がむずかしいから。知らないことばがおおい、大人が読んでる文字ばかりの本は、ぼくにはむりだ」
 少年は不貞腐れたように、地に着かない足で空を切る。いつも大人びている少年だが、やはり五歳児であることに変わりはない。子供らしさが垣間見えた。