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怪學造物茶会 Act 7

小学校の校舎内はひっそりとしていた。
どこの教室も廊下も真っ暗で、人工精霊達の足音だけが響いていた。
「ホントに誰もいねーな」
露夏が手持ちの懐中電灯で辺りを照らしながら呟く。
「最近の学校では夜に警備員が巡回したりしないからよ」
代わりに監視カメラやセンサーが作動してるの、とピスケスは言う。
「でも今は私達が“学会”の任務で入っているから、“学会”の工作でセンサーの類はオフになってるのよ」
ピスケスがそう言うと、かすみはふーんと頷いた。
「じゃ、関係ない自分やきーちゃんがいることはバレてないんだ」
かすみの言葉に対し、ピスケスはそういうことねと笑う。
そう話しながら歩く内、5人は廊下の角にやって来た。
「あ、音楽室!」
角に“音楽室”と書かれた看板を認めたキヲンがその教室の扉に駆け寄る。
あ、おいとナツィはキヲンを呼び止めようとした。
「…」
キヲンは興味あり気に扉の窓を覗き込む。
「夜になると壁に貼ってある昔の音楽家の肖像画の目が動くんだぜ」
「えっ」
いつの間にか一緒に窓を覗き込んでいた露夏にそう言われ、キヲンは驚く。

2

うちの七不思議:きみのクラスメイト

「それでは、ペアになってください」
「自由に班を作ってください」
などと教員が言ったとき、あの子はやってくる。
まるで今までずっとその教室にいたかのように。

周りが班を組んでいくなかで焦る気持ち、喉元まで出かかった「仲間にいれて」と勇気を閉じこめている生徒の肩は、あの子によって ふいにたたかれる。
  「一緒の班になろう?」
班活動が終わったあと、きみは自分が誰と班を組んでいたのか思い出せない。

班決めで争いが起きたことはないし、人数が奇数の学級でも、全員二人組になることができる。そんなことになるはずはないのに。

でも教員は生徒たちのことなんか見てないから、この七不思議のことを知らない。

1

風落果

君が彼女を傷つけた?
しかたないよ、も頑張れ、も
大きな鏡の破片
喉笛を切り裂くような声で
人の真意を知る術は
どこにもないってことなんて
当然分かっていたんだ
腫れた心さえも貫いて

あー、忘れらんないよな

鳴らない声が叫ぼうとしたこと
もうどこにも行けないんだね
伝えるために生まれた想いのはずなのに
誰も知らないで
また、溶けていく

ずっと治せないでいる癖が
いつか僕の首を絞めること
ざらつく縄の結び目
気道を締め上げるような声で
僕が彼女を傷つけた?
「そんなはず、」とは言えないエゴ
知らなかった、は言い訳
その実知ろうともしなかったくせに

あー、忘れらんないよな
まるで別人みたいな顔
赤黒くくすんだ口もとと
嘘みたいに白い襟

知らないふりで目を背けた過去
もうどこにも行かないんだね
今を生きるだけで精一杯なはずなのに
胸に張りついて
また、溶けていく

雪が降るように 思い出はその景色を変えて
溶けても 証は水溜まりみたいに残ってて
乾いて再び降り積もる雪は
またきっと別の誰か
焦る僕の足はとられ
躓いて白に赤が滲んで
誰が彼女を傷つけた?
1番の加害者はお前だろって
言ってしまった 言ってしまったんだ

もういないあの子が残していったもの
全く迷惑なやつだね
その実名前しか知らないはずなのに
涙を流す義理もないのに
窓の縁に重なる雪

また、溶けていく

こんな僥倖はない
何故か近くにいた彼女、で
こんな感傷を手に入れて
あの子が死んでよかったかもね

0

ストーリー

ヒーローになりたかったけど
君が救ってくれるならヒロインでも。

0

涙の日

突然苦しい夜が来る
突然悲しい朝が来る

孤独を抱きしめられるのは
私自身しかいないから

大丈夫だよ
寂しくないよ

嘘を言うのは良くないね

大丈夫じゃないよ
寂しいよ

本当を言葉にすると
涙もたくさん出るけれど

きっと明日、明後日
どこか遠い未来
私が笑うための涙だから

たくさん笑うために
たくさん泣こう