音楽が終わったあの夜に囚われ続けている
喉が枯れるほどの歌声と
止まらなかった涙と一緒に
残った欠片を集めて
忘れないように抱えているのに
どうしてだろう
どうして記憶は薄れていくのだろう
幸せはそう簡単に拾えないっていうのに
誰もいない小学校の靴箱にて。
どこか異質なコドモ2人が、校庭への扉を背に手を取り合って怯えている。
2人の視線の先にはヒトの形にヒレが生えたような精霊が浮いていた。
「_€+]$\;*」
精霊は2人に対して威嚇する。
「ナツィ達、来てくれるよね?」
キヲンのその呟きに対し、かすみは多分…と自信なさ気に答える。
「ナツィ達、他の精霊を倒すのに手間取ってるのかな」
それとも…とキヲンは不安気な顔をする。
「そ、そんな訳ないよ!」
ナツィ達は自分達と違って強いもん、とかすみはキヲンを励まそうとする。
「でも…」
キヲンは心配そうにうつむく。
「=‘+*^%#;}\__‼︎」
精霊は唸りながらにじり寄る。
かすみとキヲンは益々縮こまる。
…と、精霊に向かって矢が飛んできた。
「⁈」
精霊はすんでの所でそれを避けたが、そこに向かって黒い影が飛び込んできた。
黒い影は手に持つ大鎌を精霊に向かって振りかざす。
学校で新学期の俳句を考えてと言われたので考えました!「桜散る 1秒の 希望の光」です。俳句をまだやったことが無いので生徒の皆さんアドバイスをお願いします❗️
貴方を想って花を買う
あぁ、でも花瓶がないんだっけ
満たされているはずなのに
ささやく不安の影
視界の端に揺らめくアンスリウム
届かぬ声でも叫ぶよラブソング
貴方すら詩にするもの描きの運命
高校生になって意味が分かった。
少年は成長して、様々なことを知って、女の格好もとっくのとうにやめた。身長は一六五センチメートルを超えたところで止まってしまったが、重大な病に侵されたり大怪我をしたりすることなく健康に育った。
地頭が良かったこともあり成績も良好だ。高校受験は無事に成功し、県内でも屈指の公立高校に入学した。感情の起伏に乏しいことや無口なことは変わらず友達はあまりいなかったが、それなりに楽しく生活していた。
それでもあの男について考え続けていた。男の正体も察しがついた。
だから彼に何があったのか知りたくて、思い立ってからはすぐだった。次の日の正午には、田舎に住む父方の祖母の家の居間にいた。
「一人で来たなんてすごいわねぇ」
祖母は冷えた麦茶を出しながら感心した。祖母は明るくサバサバした性格の人で、大人しい父親とは性格面ではあまり似ていないが、余裕のありそうな顔立ちはよく似ていた。ただ、母子の関係は良いとは言えなかった。幼少期会うことがなかったのも、それに起因するところがある。
「でも、どうしたの急に」
祖母が少年の向かいに座って尋ねた。
来てからずっとそわそわしていた少年は、待ちかねていたように半ば茶托に乗り上げる勢いで質問に食い付いた。
「あの、じいちゃんについて知りたいんだ」
表情は少しも変わっていなかったが、必死だった。
「あの人について……?」
「うん。じいちゃん、戦争で亡くなったと伯母さんから聞いた。それで気になった。だから、教えてほしい。じいちゃんは何処で亡くなったんだ?どんな人だったんだ?」
祖母は引き気味に数回小さく頷いた。
「う、うんうん。分かったから落ち着きましょ」
「ア、うん」
少年は祖母に促されて座り直すと、心を落ち着ける意味合いで結露し始めたガラスのコップの麦茶を一口飲んだ。一呼吸おいて、彼女の俯きがちな顔を伺った。
「珍しい子ねぇ」
そう言ったきり、しばらくの間俯いて黙り込んだ。