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通りすがりに吐き出された言葉が刺さった
それが私を客観的に見た評価なのだと悟った

怒るより泣けてきてしまった
あぁ、私はそうなのか
あの時は妙に納得してしまったけれど
今ならガツンと言ってやる

「ブスって言った方がブスなんだよ!!」

小学生みたいな反撃だけど
本当のことだから

人を罵るその顔はどんな顔より醜いから

私はあんな言葉認めない
だってすごく、面白い顔だけど
平均からは外れた顔だけど

結構、割と、愛らしい顔してるもん
自分が愛してあげられなかったら
この顔を誰が愛してくれるの

だからね、私はこの顔が大好きだし
醜い言葉は吐いた分だけ醜くなるからね
止めといた方がいいぜと言ってあげたい

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅻ

それから30分もしない内に、水晶達は歩道橋の方に攻め込むカゲを倒し切った。
その後すぐに、出現したカゲは全て討伐されたと言う情報が入り、全てのスパークラーに撤収命令が出た。
「いやぁ今回の戦いも大変だったね」
「だね」
紀奈と弾はそう言いながら通りを歩く。
辺りはもうすっかり夕暮れだ。
「一時はどうなることかと思ったけど…まさか加賀屋さんのお陰で窮地を切り抜けることができるとは思わなかったわ」
巴もそう呟く。
「それにしても加賀屋は随分無茶したよな」
普通死ぬぞアレと、寵也は後ろを歩く水晶に目を向ける。
「…考える前に身体が動いただけだよ」
だから、たまたまと水晶は笑った。
「ふーん」
寵也がそう頷いた時、交差点の向こうから聞き馴染みのある声が聞こえた。
「おーい!」
見ると、水晶の兄…石英とそのチームメイト達が立っていた。
「探したよ水晶」
そう言いながら石英は水晶達の方に駆け寄る。
「いやぁ急にカゲの大群が攻め込んできて狙撃ができなくなった時はどうなるかと思ったけど、水晶がアレを倒してくれて助かったよ」
ありがとうね、と石英は水晶に笑いかける。
「…別に、身体が勝手に動いただけだから」
感謝される程のことじゃない、と水晶は呟く。
「えーそんなに謙遜しなくてもいいのに」
「兄さん達には敵いません」
「えー」
加賀屋兄妹が仲睦まじくしていると、不意に石英の後ろから声が聞こえた。

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白と黒と青き星〜第4話 懐疑〜後編

「本題?」
「そう、今回の件には何か裏があるんじゃないかなって」
そう言った大幡の表情はかなり真剣だ。
「裏なんて大袈裟じゃないか?ほら、双子田万川って県境だろ?管轄の問題で他部隊と折り合いがつかなかったとかさ」
なぜ俺がこんなに誤魔化すのか自分でも分からないがこの反応はかえって2人の議論を加速させた。
「だとしても澁谷分校には先輩達がいるはず、なのに招集がないなんて…」
「まるで僕ら0X期部隊だけで輝士班の仕事をさせたかったみたいな感じ」
2人の会話はどんどんと何かの答えに近づくように、掛け合いの間合いが短くなっていく。
「もしそうだとして何のために?どの仕事も少人数でやる意味はないし、あり得るとしたら見せるため…とか?」
安直とわかってはいたが2人のペースに呑まれ、つい口走ってしまう。しかし2人のリアクションは至って真面目で調子が狂う。
「見せる…」
「そうか、デモンストレーション!」
俺だけがまた置いていかれる。
「え?」
「デモンストレーションなら確かに同期というテーマ性を持たせた意味も、美空のスケジュールを狙ったのも色々筋が通る」
その大幡の具体的な言い方に初めて内容の輪郭が俺にも見えてきた。
「美空の遅刻は手順を見せるため、そのためにブッキングのあった0X期部隊が招集された」
「でもなんで隠すんだ?STIの成果というならもっと大々的にやるべきだろう」
いつしか出撃準備室に置かれた机に向かい3人の議論は加熱していた。
「余程の要人への紹介か、それなら同期のみで構成する理由がないな」
「一つの代で全ての仕事をこなせることを見せる…でも集団を養成する目的とはイマイチ合わないな」
出した意見どれもが決定力には欠けていた。そうした完全な膠着状態を破ったのは津上の一言だった。
「あ、まずい!そろそろ行ってご飯作んないと」

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野良輝士市街奪還戦 登場人物

・下野真理奈(しもつけ・まりな)
部隊内での役割は中~遠距離からの援護射撃と全体を俯瞰しながらの指揮。アプリで通話する時、一人だけハンズフリーイヤホンを使っている。P.A.故の補助効果を抜きにしても謎の狙撃能力の高さを持つ。
使用P.A.:猟銃。スコープは取り外し可能で、攻撃メインの時は外し、指揮メインの時は設置して望遠鏡代わりに使う。
・和泉宗司(いずみ・そうじ)
部隊内での役割は前衛としての敵の翻弄と破壊力が必要な敵への攻撃。特技は投擲で、特にある程度の質量があるものを狙った場所に投げるのが得意。
使用P.A.:戦槌。片側が錐状に尖っている。片手でもギリギリ使える程度のサイズ。投げたりもする。
・門見初音(かどみ・はつね)
元々の仲間たち全員から渾名で呼ばれている。部隊内での役割は前衛での補助役とヘイト分散。知り合いにSTI所属の人間がいて、その縁でP.A.製作業者とも繋がりがあり、彼女が居なければ野良輝士たちは武器を用意できなかったので感謝されて然るべき。
使用P.A.:片手半剣。全長約1.5m。地面や壁に突き立てて足場代わりにすることが多い。
・月舘灯(つきだて・あかり)
本来の部隊内での役割は中距離での支援と移動支援。P.A.の性質上機動力が最も高いので、前線に出ることも多い。
使用P.A.:鉄線銃。射程距離は約50m。巻き取り機構はあるものの、人間の重さを引き寄せられるほどでは無いため、移動時にはワイヤー部分を掴んで自力で引っ張る必要がある。銛みたいな先端が当たると普通に痛い。
・田代小春(たしろ・こはる)
STIである県立鉱府光明学園に通う少女。カゲに沈んだ町でどうにもできずに身を守っていた。後に部隊に加入する。
使用P.A.:折り畳み防楯。原色の迷彩模様で彩られた4枚の金属板で構成されている。