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白と黒と青き星〜第5話 料理〜

「あ、まずい!そろそろ行ってご飯作んないと」
その一言が膠着した会話、場を一気に帰る方向へと向けた。正直先に片付けを終えておいてよかったと思った。
「もうそんな時間か」
「確かにちょっとやばいね」
STIは中高一貫全寮制、全学年が住んでいるため、風呂や食事処は班別(部隊別)に使用時間の割り振りがある。出撃や授業でその時間に着かない場合は届出をする必要があるのだが、今回は任務自体は十分に間に合う時間だったので届出はしていない。
「ごめん、今日はちょっと手抜き料理になるかも」
別に当番制でもなんでもないのだがいつも料理は津上の仕事になっている。
「全然いいよ、ってか手伝えることあったらやるし」
津上がいつも料理担当ではあるが俺も大幡もできない訳では無い。ただシンプルに津上には敵わない。
「ありがと、そしたら具材切ったりとか頼むかも」
『了解』
癖づいたその掛け声は3人がやることを共有した合図でもあった。そうして走って寮に着く。それでもこれといって息をあげないのはやはり訓練の賜物だ。
「あ、もう調理室空いちゃってる」
「ってことはもう時間始まってるじゃん!」
どんなに焦っても調理室の前ではきちんと立ち止まる。
『AA0X期部隊、調理室使用します』
中学時代から叩き込まれた集団行動の基礎は必ず守る。ある意味での儀式のように。
「とりあえず煮込むとこまで出来ればあとは部屋でもなんとかなる!急ぐよ」
津上の掛け声で3人はそれぞれの仕事を開始する。
津上は鍋に火をかけた後、肉を適当なサイズに切っていく。ジョーはじゃがいもをブロックに切り、大幡は人参を半月切りにしていく。
時計は刻一刻と時間を刻む。
アラームが鳴る。
それが片付けの合図だ。
「よし、あとは部屋で仕上げだ」
津上がそう言って火を止め、鍋を持ち上げた。
ジョーと大幡は急いで片付ける。
「よし、急いで帰るぞ!」

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister おまけ Ⅱ

企画「鏡界輝譚スパークラー」参加作品「Crystal Brother and Sister」のおまけ…キャラ紹介のその2です。

・福貴迫 弾(ふきさこ はずむ)
所属STI:幕針文化学院
学年:高等部美術科1年
所属部隊:加賀屋隊
使用P.A.:ハルバード型、拳銃型
イメージカラー:ピンク
水晶のチームメイトの1人。
可愛いものと楽しいことが大好き。
「面白そうだから」という理由で「加賀屋隊」に入った。
「加賀屋隊」の斬り込み隊長。
中等部から幕文に通っている。
くせっ毛が特徴的で水晶より背が低い。
いつもカーディガンを着ており、ピンクのリボンタイを身に付けている。

・熊橋 寵也(くまはし ちょうや)
所属STI:幕針文化学院
学年:高等部理数科1年
所属部隊:加賀屋隊
使用P.A.:マシンガン型
イメージカラー:緑
水晶のチームメイトの1人。
理知的で基本冷静だがふとした時に感情的になる。
弾のことが心配で「加賀屋隊」に入った。
「加賀屋隊」のブレーン。
中等部から幕文に通っている。
黒縁メガネをかけている。
いつもセーターを着ており、緑のネクタイを身に付けている。

・加賀屋 石英(かがや せきえい)
所属STI:澁谷學苑
学年:高等部3年
所属部隊:クルセイダース
使用P.A.:刀型、拳銃型(共に本編未登場)
イメージカラー:白
水晶の実兄。
誰にでも心優しく、様々な人々を惹きつけるカリスマ性を持つ。
また、類稀な戦術眼を持つ。
東鏡の名門STI「澁谷學苑」に初等部から通っており、代表部隊「クルセイダース」の隊長を務めている。
白いセーターを着ている。

これでキャラ紹介は全て終了です!
何か質問などありましたらレスください。

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いまおもえばね

君はイヤがってた、神様に祈る日々を
二人きりの毎日を

本当は素直な風にのって
旅でもしたいって 僕もおなじさ

本当は月夜のメンソール
静かにしてたいって よくわかるさ

君は欲しがってた
揺るぎない価値と、世界中の羨望を

誰からもわかりやすい幸せが
たらふく欲しいって 僕もおなじさ

あたたかい柔軟剤の
香りが欲しいって よくわかるさ

君はイヤがってた、神様に祈る日々を
二人きりの毎日を

本当は素直な風にのって
旅でもしたいって 僕もおなじさ

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鏡界輝譚スパークラー:陰鬱プロフェッサー その⑦

「……あれ、死なない」
明晶が間の抜けた声をあげた。撃たれたカゲは反動で仰け反ったものの、銃創は少しずつ塞がっていっているのだ。
「ごめん、殺しきれなかった」
「いや良い、こっちで片付ける」
カゲが怯んだ隙を狙い、吉代が斬り上げる。両断されて体外に投げ出されたダークコアを明晶が正確に撃ち砕き、そのカゲは遂に消滅した。
「ふぅ、危ないところだった……」
「畜生トドメ搔っ攫いやがって……。……ところでプロフ、なんでカゲが入ってきてんだ」
「さあ……あのカゲが強かったからかな? そもそも『カゲ除け』って、この小屋の壁全体に光の力を通して、近付いたらちょっと押し返しつつ微弱なダメージを与えることで奴らに近付かせないようにしてるんだよね。これに勝てるほど強いカゲなら、まあ入って来れるだろうねぇ。あいつらの浸蝕能力はすごいし」
「なるほど。……つまり、今この小屋、穴開いてるのか?」
「多分ね」
「おい待てヤバいんじゃねえのか?」
「うんヤバい。この小屋は、この村にとっての『最後の砦』だ。突破されたらワタシ達の希望は完全に潰える。というわけで、直してきて?」
「言われなくても」
そう言って吉代は駆け出した。
「道具と建材は入ってすぐ右……だから中から見て左の壁の隠し扉に入ってるからー」
吉代の背中に呼びかけ、明晶はモニター越しに防衛システムの点検を始めた。