寿々谷駅前の商店街の裏通りには、小さな駄菓子屋がある。
その名は”ホオジロ商店”。
寿々谷のコドモ達の憩いの場だ。
この店はいつからあるのかよく分からないが、見るからに大分昔から存在するのは確かだった。
そしてこの店は、いつもおばあさんが1人で店番をしている。
わたしが物心つく前からいるらしいこのおばあさんは、皆から”駄菓子屋のおばあちゃん”と呼ばれ、慕われていた。
…わたし達は今、そんな店に向かっていた。
「あ、ミツル」
わたし達のうちの1人、ネロが駄菓子屋の店先にコバルトブルーのウィンドブレーカーを着た少年を見とめると、そう声を上げる。
「お、よぉ」
皆お揃いかーとミツルは白い棒状のお菓子を手に持ちながら言う。
「…ミツル、またサワーシガレット食ってるの?」
ネロがそう尋ねると、そうだぞとミツルは返す。
「ネロが好きなココアシガレットよりずっとおいしいサワーシガレットさ」
ミツルがそう得意気に言うと、ネロはなっ、と答える。
泣いて目が痛くなった日
目薬の刺激の方が痛いよバーカって呟いて強がった
それでもまた涙がぼろぼろと流れる
頬を焼くような痛みを残す雫が憎らしかった
しょうもないことですぐに泣いてしまう自分に嫌気がさした
涙腺なんか消えちまえ
八角形の宇宙に、ひとり
見あげた空いっぱいの雲
次から次へと止めどなく
おちてくる、おちて
くる水玉がぱらら
ばらばらに叩く
ぱらり、ぱら
雨ふりの日