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心模様

壁当てでできたドット柄が
やがて黒一面になる前に
君の参戦を心待ちにしている

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 16.トウテツ ②

「そ、そんなワケないやい」
ココアシガレットがナンバーワンだよ、とネロは頬を膨らませる。
「へぇ、どこに根拠があるんだ?」
ミツルはにやにやしながら立ち上がる。
ネロはこう答えた。
「どこにも根拠はないけど…でもボクの中では1番!」
サワーシガレットばかり食べてるミツルは損してるよ、とネロは言う。
「ほーう、俺からしちゃココアシガレットばかり食べてるネロの方が損してると思うんだけどなぁ」
「何だよソレ⁉」
「まぁまぁ2人共」
ミツルとネロが睨みあった所で、耀平が2人の間に割って入る。
「とりあえず、どっちのシガレットが優れているかって話は良いからさ」
ネロ、おやつ買おうと耀平はネロの方を見る。
「お前がココアシガレットを切らしたから、今日はここに来たんだろ?」
耀平がそう言うと、ネロは渋々うんとうなずく。
「じゃあ、さっさと買おうぜ」
耀平の言葉に対し、ネロは分かったよとつぶやいて駄菓子屋の店内に入っていく。
わたし達もそれに続いた。

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白と黒と青き星〜第8話 生活〜

「それはな…彼たっての希望だ」
「え?」
4人は全員が耳を疑った。教官の声と言った内容が一致しなかったのだ。
「彼が先程、明日公表の予定を今晩に早めてくれとわざわざ申し出てきた。当然俺も拒否したのだがな…」
教官の顔はいつになく赤く、語尾にも少し恥ずかしさが見え隠れする。
「どうしても2日目のカレーというものが食べてみたくなってね」
既にタメ語なことよりもその内容のチープさに驚いた。
「カレー…」
他の3人も理解が追いつかない様子だ。なぜ教官はそんな理由を受け入れたのだろうか、それとも別の理由が…?
「そこで仕方なく急遽お前たちを招集したという訳だ」
恥ずかしさも落ち着いたのか、ため息まじりに力なく情報をまとめた。
「つまり、今晩から彼も宿舎に入るのですか?」
ここでこの質問を冷静にできる大幡はやはりズレている。
「どちらでも構わない。告知を早めただけで編入に関する諸々の手続きは明日付だ」
「なるほど、ありがとうございます」
今日でないにしても、告知と手続きが同日というのは十分早く感じた。それほどに彼の転校は極秘かつ迅速に対応しなければならなかったのか…
「寝泊まりは別に仮宿舎でもいいんだけど、明日朝のカレーは彼らのを食べたいな」
ここまでブレないのはもはや尊敬に値する。
「遅くに悪かったな、要件は以上だ。聞きたいことはあるか?」
「いえ、特にありません」
大幡が俺達の顔を確認しながら答える。
「では、明日からは新たなメンバーも加えてまた訓練に励むように」
「はい!失礼します」
綺麗に揃った4人の礼に合わせようとさえしない転校生も言葉だけは倣っている。
「さて、教えてもらおうか君の正体」
教務室を出るなり4人で転校生を囲んだ。