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偽人小歌 Ⅱ

「トウカはおれたちの“恩人”だから…」
アカネはそう言いかけて、不意に言葉を止めた。
「?」
どうしたのアカネとトウカが首を傾げた所で、アカネは突然こう叫んだ。
「伏せろ‼︎」
その言葉と共に、辺りに銃声が何発も鳴り響いた。
「!」
トウカが驚くよりも早くアイはトウカを伏せさせ、アカネもその場に伏せる。
「…」
銃弾の雨が止んだ所で、アカネは建物の屋根を見やりながら立ち上がる。
そこには覆面姿のスナイパーたちがいた。
「出やがったか…」
アカネはそう呟いて、2人共、大丈夫か?とトウカとアイの方を見る。
「大丈夫よ」
「平気です」
立ち上がる2人を見ながらアカネはなら良かったと声をかける。
「とりあえず、アイはトウカを連れて安全な所へ逃げてくれ」
アイツらはおれらがなんとかする、とアカネはアイの目を見る。
「了解です」
アカネさんも気を付けてくださいね、とアイは言うと、行きましょうとトウカを連れてその場から立ち去った。
アカネは2人が立ち去る様子を見送ってから、建物の屋根を見上げる。
さっきトウカを狙ってきたスナイパーたちはもうすでにその場から去っていた。
「…聞こえるか、みんな」
アカネは耳の通信機に手を当てながら言う。
「さっき襲撃されたんだが、犯人どもに逃げられちった」
多分奴らはまたトウカを狙ってくる、とアカネは付け足す。
「だからおれたちは奴らの作戦を阻止する!」
絶対にトウカを守り切れ!とアカネは語気を強めた。
「了解‼︎」
通信機の向こうから、威勢のいい声が聞こえた。
「…頼んだぞ」
アカネはポツリと呟くと、その場から走り出した。

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ナイフ

くるくる
回る
言葉を
手に持ったナイフで
切れ

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融解

一生懸命出来ないことを
最近の暑さのせいにして
布団の上で横たわる日々

このまま溶けてしまえたら

想像だけが部屋いっぱいに広がる

部屋から忽然と私だけが消える
溶けたら痕は残るのだろうか
名探偵もビックリの大事件だ

少し笑えて
でもやっぱり体は重い

あー、本当に消えてしまえたらな
妄想は、続く

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敵は

暑さだった
飢えだった
渇きだった
脚気だった
赤痢だった
マラリヤだった
戦友だった盗人共だった

ところで

おれたちは
何でここにいるんだったかな

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5/12

どんなに激しい大雨で
身体も心も湿気たって
辛く苦しい夜更けの中で
暗闇に溶ける夢を見たって
きっとそれは8月の
気分屋な空とおんなじで
いつかはきっと、未来はきっと
眩い程の青空に成る
だから今日もね
愚直にね
青に飛び込み夏を纏う