醜さを嫌う人はよく聴くが、
醜さを好む人、と言うのはあまり聴かないものである。
不思議なもので、醜さあっての美しさである。
真に美しきを好むと言うのは、醜さを好むことでも
あるのではなかろうか。
彼奴のことなんて忘れてしまおう。
彼奴だって何を話したか、何をしたか、なんて、
覚えちゃいないさ。
思い出も嫌悪も一方的で、
相手は知らない、忘却の彼方。
彼奴も僕のことなんて、覚えちゃいないさ。
全部。
忘れてしまおう。
人ん家にひとり。立地もあるのだろうか、暖房が効きづらい家だなあと思う。
寒くて仕方がないのでお茶を温める。ペアルックのマグカップを借りますよ、と家の主に向けて唱えておく。電子レンジの20秒のカウントダウンが待ち遠しくて、なんとなく近くにいた猫の額に自分の額を合わせてみる。
続いて弁当を温める。温かいお茶のおかげで心細さはない。
練り物かと思ったら唐揚げだったことに面食らいながらも、唐揚げからは米と野菜ばかりの弁当に慈悲を感じた。寄ってくる猫を箸を持ち替えながら空けた片手で撫でまわす。
ご飯あと、猫を味わう時間だ。猫に顔をうずめたり、猫吸いしていたりしたら目が痒くなってきた。おまけに鼻もずびずびぐずぐず。
あーもう。
勘弁してくれアレルギー。
頑張れ、だって?
成程、それは、全てを賭けてまで、
努力する価値があるのかな?
辛く、苦しい、思いをしてまで
努力しなければならないことは何も無いはずだよ?
そう。
それが例え、生きることであっても。
「‼︎」
桜色の髪のコドモが咄嗟に蔓を伸ばしたが、包丁で切り裂かれてしまった。
「野郎!」
帽子のコドモこと露夏はそのまま桜色の髪のコドモの腹に蹴りを入れる。
桜色の髪のコドモはそのまま地面に転がった。
「くっ…」
桜色の髪のコドモが痛みに悶えていると、目の前に黒い影が舞い降りた。
「…黒い、蝶」
桜色の髪のコドモがそうこぼすと、ナツィは相手の胸元を踏みつける。
「こちとら頼まれてやってるんだ」
大人しくしろ、とナツィは踏みつける足に力を入れる。
「ぐっ…」
桜色の髪のコドモはそううめく。
その隙に露夏が魔術師達を縛り上げる蔓をみんな切ってしまった。
アイシャドウを乗せ、口紅を引く
髪を結って、香水をひと振り
わたしは私を作っていく
コンタクトを外し、お化粧を落とす
髪を解いて、シャワーを浴びる
私をわたしに戻していく
霊感とは、ただ単に『霊を見る、気配を感じる』といったものでは無い。
そもそも、霊の存在を感知すること自体には、霊感は必要ではない。
これに重要なのは、敢えて言うなら『信仰心』。霊の存在を知っていること、強く信じていること、そういったものが重要なのであり、見るだけだとか気配を察知するだけであれば、できる人間は決して少なくない。
では、「霊感」とは何なのか。
詰まるところ、それは文字通り『五感全てで霊体に干渉する』才能。
霊を視認し、その声を聞き、気配を感じ取り、彼らに触れ、ともすれば喰らって己が糧とさえする。
この『干渉する技能』こそが霊感の本質である。
見てよこの大量の仮面。
こっちは敵意を全く見せないニコニコ笑顔。
こっちはノリの良さを感じさせる馬鹿笑い。
これは近付かかない方が良さそうなどんよりフェイス。
で、これは……眼光だけで人を殺せそうな激怒だね。
ほかにもまだまだ沢山あるよ。
全部私のだから。誰にも何も言わせないよ。
辛い 辛いけど あなたはもっと辛かったはず
私のこと忘れちゃってたけど また会ったとき 覚えてくれてたら嬉しいな
天国でゆっくり休んでね
いつかまた どこかで会おうね
「頂きます」「ご馳走様」「おはよう」「おやすみ」
「挨拶」という種類の言葉で人と人を繋げていく。
本当に素敵だって思う。
偶に「嫌だなぁ」と思うけど、繋がる瞬間を目の当たりにするとやっぱり素敵に感じる。
前に挨拶がない国があると聞いたことがある。
ただいまがない。いただきますがない。
おはようの挨拶がないのも
きっと別の意味で言葉を大事にしてるんじゃないかと思う。
人生で喋れる言葉の数、文字数が決まっているなら。そう考えて生きてみるとするなら。
最後の日に沢山の感謝を沢山の人に沢山伝えたいからきっと挨拶を省くんじゃないかなんて、都合が良すぎるけれど。
挨拶が在る国も無い国も平等に生きてるんだと。
存在している事に感謝しているんだと。
それをどんな形であれ表現しているんだと。
挨拶があるなら
毎日挨拶で今を生きている事に感謝する。
挨拶が無いなら
精一杯の行動をして感謝する。
世界は争うけど共通して
「感謝」をして生きている