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円環魔術師録 外伝8

魔法使い。
マスターは先刻そう言った。
つまり、相手...アリスが、魔術師の風上にもおけない様な輩である可能性が非常に高い。
マスターが、自分の感情だけで相手に暴言を吐くような人物でないだけに、より信憑性がある。

「多分...この辺りかな?」

近くの木に魔力探知をかけるマスター。
魔力探知にかかった相手は、金縛の様になる...筈だが。

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ほーりーふぁいと あくと1

「お?堕天使か」
背後からの声かけに、僕は思わずびくりとした。この地域での堕天使…もとい片羽は差別の対象だからだ。片羽呼ばわりされなかっただけでもましだ。何をされるかも分からないし、怖いけど…しぶしぶ振り向いて応答する。
「は…はい…」
「悪ぃ、呼び止める気はなかったんだけどよ」
…思ってた反応と違う。上目に声の降ってきた方を窺うと、つんつんした癖っ毛や吊り目が特徴的な…悪魔がいた。
「!?!?あ、悪魔だーーー!?」
「お、おいおい、そんなびっくりすることじゃねぇって…なっ泣くんじゃねぇよ!あーもううるせぇな…」
僕が混乱で泣きだしたことに驚いたのか、彼(見た目で勝手に性別を判断した)は眉を下げて僕の背中をさすってくれた。
「ちょっと!うちに悪魔ってどういうことよ!」

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その③

「……で。なんでだ?」
あの男性……彼の言葉から察するに、悪魔氏は、先ほどまでの軽い口調とは打って変わった真剣な口調で青年に問いかけた。
「俺に用があるなら、俺だけラチりゃ良いだろ。……ぁいや俺ラチってきたのも許してねーけど。羽根カスとヒトカスはなんでここに居る? 言っとくが悪魔にだって知識として『常識』はあンだよ」
長剣の刃を見ていた青年は身体の動きをぴたりと止め、ゆっくりと悪魔氏の方に向き直った。
「えっと、そうですね……見ての通り俺は片翼の“堕天使”なわけですが」
「あァ、そうだな」
「やっぱ俺って、追放された側なわけじゃないすか」
「そりゃテメェで反旗翻してンだからな」
「普通恨みません?」
「お前個人は?」
「いや特に……俺も馬鹿な事したなーって。けどせっかく見つけたんで、物のついでってことで」
「ヒヒヒ! お前良い性格してンねェ!」
「おい貴様! 誰が物のついでだと⁉」
天使氏の言葉には2人とも無視を決め込んでいた。
「あ、ついでにそっちの“かよわきいきもの”は?」
「それはほら、天使って暴力的なところあるじゃないですか」
「ウン」
「だからほら、無力な人間が一人いれば、無法出来なくなるなって」

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あなたの手は人を傷つける為にあるんじゃない

その手は人を守る為にあるのです
そう言われたとき涙が溢れました

私のつたない文章でも人を救えたなら
これほど嬉しいことはない

あなたの手もきっと誰かを救う為にある

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無から無限

無ってなんだろう。無限ってなんだろう。

無から宇宙は生まれて、宇宙には無限の可能性がある。

無知で生まれてきた僕たちの未来は無限大。

無限って 無+限?それとも無×限?

ぼーっと頭を無にすると、無限の力を持つアイデアが降ってくる。

無ってなんだろう。無限ってなんだろう

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常勝のダイヤ#8   

季節が過ぎるのはいかに早いことか。雨上がりで、息をするたびに蒸し苦しい空気が体のなかに入ってくる微妙な朝。ここから、華やかな大声援団のなかドラマが生まれるまで、1か月。俺たちは県大会の初戦を迎えた。
昨秋の余裕ぶった表情はない。この一年の苦しさ。悔しさ。自分達の弱さが目に見えて、いやになった日々。全てはこの夏のために。
メンバーを見渡す俺。キャプテンの俺は声をかける。
「皆。ここまで本当に苦しかった。あの日負けて常勝が崩れて、ここにいる全員が悔しい思いをした。俺らにかけられてきた信念と誇り。それがどんなに重いかを知って、打ちのめされた。その思いを、全国の。甲子園の。黒土に埋めて、幸せを誇りを持って帰ってこよう。ここから、ベストをつくそう。俺たちが一番、強いチームになるんだ。いいな!」       『おし!!!』
このチームなら、やれる。ここから、俺らの。一回しかない夏が始まった。