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もっと前からあなたと出会いたかった

人の気持ちを第一に考えているあなたの言葉
心に響きます

これから私の分も生きてください

大好きだよ

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視える世界を超えて エピソード9:五行 その③

「やあ、君」
千葉・白神の2人は大学からの帰り道、種枚から声をかけられた。
「……いるとは思ってたが、やっぱりシラカミも一緒にいたか」
「あっはい」
「さぞしんどかろうて」
「意外と慣れますよ。たまにバチッと来るくらいで」
「まあ良いや。今回用があるのはシラカミの方だから」
「およ、メイさんに何の御用ですかね?」
「来週の金曜、17時以降、空いてるかい?」
「うん空いてるけど……」
「来てほしい場所があるんだ。その子を連れてきても構わないから、来てくれるかい?」
「良いよー。千葉さんや、一緒に来てくれる?」
「あ、良いですよ」
「よっしゃ、じゃあ場所と時間を教えるぜ。多少なら遅刻してくれたって構わないから、気楽に構えておくれよ」
2人に情報を伝え、種枚は足早にその場を去った。
「……白神さん」
背中にぴったりと貼り付く白神に、千葉が声をかける。
「何?」
「実は行きたくなかったりします?」
「なんで?」
「いや、あの……電気が漏れてまして」
「あ、ごめん。いやね? やろうと思えばちゃんと抑えられるんだよ? 動ける?」
「少し待ってもらえれば……」
「ごめんよー」
謝罪したにも拘わらず離れようとしない白神に苦笑し、千葉は絶え間なく弱い電流を流され続けて麻痺した身体を解そうと少しずつ動かし始めた。

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暴精造物茶会 Act 1

昼下がり、とある大学の構内にて。
午後の授業が始まったばかりで人気のない校舎の外に、ベンチに座ってお喋りする3人組のコドモたちの姿が見える。
3人の見た目は普通のコドモのように見えるが、どこか不思議な雰囲気を纏っていた。
「それでね、地下にいたのは…」
「え〜、何それー」
「うっそだ〜」
3人はきゃっきゃと噂話で盛り上がる。
人の少ない授業中の大学構内に、コドモたちの笑い声が響く。
「それでそれで、その人はどうなったの?」
3人組の内の1人、白い頭巾を被り長い紅色の髪を持つコドモが右隣に座る薄手の白いパーカーのフードを被った水色の髪のコドモに尋ねる。
水色の髪のコドモはえっとねーと言って続ける。
「その人は精霊に襲われちゃったんだって!」
紅色の髪のコドモと水色の髪のコドモの右隣に座る白いマウンテンパーカーのフードを被った短い緑髪のコドモはえーっと声を上げる。
「そんなことあるのー?」
「ありえないよー」
2人はそう口々に言うが、真ん中に座る水色の髪のコドモはふふふ〜と笑う。

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友達や母に謝りたい

お友達へ。あの時傷つけちゃってごめんなさい
お母ちゃんへ。あなたより長生き出来なくてごめんなさい

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深夜の迷子 夜中

「…迷った」
「え?」
突然の発言にゆずは目を丸くした。
「こんなこと今までなかったんだが…うーん…」
「じゃあ今ここが山のどの辺かもわからない?」
「そろそろ下山くらいの場所だったはずだけど。まあ安全な道は遠回りしなきゃならないから近くはないかも」
せんちゃんは歩みを止めた。
「…『神隠し』がいる」
その言葉に一気に空間が冷えた。しかし、耳を澄ましても鼻を鳴らしても、気配すら感じない。
「どこ?」
「…」
「せんちゃん?」
せんちゃんはいきなりゆずの手を引いて走りだした。
「ゆず、見えないのか」
「え?い、いるの?」
「いる。後ろだよ、結構離れてるから簡単に撒けると思うけど…」
前遭ったときは見えた。匂いもした。音もした。でも今は気配すら感じない。ゆずは根拠のない違和感を覚えた。彼女の人生を支えてきた勘が、せんちゃんが目指す方向は危ないと告げている。
「っ…ま、待っ…て!」