ビーストが出現した場所から1kmほどの場所にある小学校にて。
ビーストの急襲により小学校は多くの人が集まる避難所となっていた。
「少年」
体育館と体育館の裏手を繋ぐ出入り口に座り込む少年に、青緑色の髪の少女は体育館の外壁にもたれながら話しかける。
「そんな顔してどうしたんだい?」
もしや同級生のドーリィを心配しているのかい?と青緑色の髪の少女は微笑む。少年はちらと彼女の方を見て、それはそうだけどと答える。
「…あなたのことを考えてたんです」
あなたがなぜぼくに絡んでくるのか、と少年は続ける。青緑色の髪の少女は目をぱちくりさせる。
「それって」
青緑色の髪の少女はそう言いかけるが、少年は遮るように続ける。
「最初は偶然だと思ったんです」
あなたが何かとぼくの前に現れるのは、と少年は淡々と言う。
「でも喰田(しょくだ)さんが…リコリスのマスターが“あの人はドーリィだ”って言ってきて、気付いたんです」
あなたがぼくの前に現れる理由が、と少年は青緑色の髪の少女を見上げる。青緑色の髪の少女は気まずそうな顔をしていた。
「…ぼくは、“あなたと契約できる資格のある人間”なんでしょ」
少年が静かに尋ねると、青緑色の髪の少女の目が泳いでいた。
「…そ、それはね、少年」
「ごまかさないでください」
あなたにとって、ぼくは“適正のある人間”なんですよね?と少年は立ち上がる。青緑色の髪の少女はうぐぐ…とたじろぐ。
「もう嘘はつかないでください」
全部バレてるんですよ、と少年は青緑色の髪の少女に詰め寄る。
「なんで黙ってたんですか」
言ってもよかったのに、と少年は呟く。青緑色の髪の少女は俯いたまま暫く黙っていたが、やがてため息をついた。
「…嫌だったんだ」
青緑色の髪の少女はそう言って地面に座り込む。
「“大事な人”を失うのが」
彼女はポツリとこぼした。少年は黙ってその様子を見つめる。
「…僕には、半年くらい前までマスターがいたんだ」
君より少し年上くらいのね、と青緑色の髪の少女は付け足す。
「彼女はビーストのせいで身寄りを失って、独りぼっちだったんだ」
そんな所に僕が現れた、と青緑色の髪の少女は続ける。
・アリー
モチーフ:Allium fistulosum(ナガネギ)
身長:149㎝ 紋様の位置:右の手の甲 紋様の意匠:ネギ坊主
ブロンドヘアをツインテールにまとめた、やや幼い外見のドーリィ。本作開始時点では誰とも契約していなかった。
固有武器はフィスタロッサム(先端が二股に分かれた片手杖。中が空洞になっており、振ることで音を鳴らすことができる管楽器としても使える)。フィスタロッサムの演奏によって万物の「魂」を震わせ、曲目に応じた変化を発生させる。音色の届く範囲であればすべて射程圏内でありすべて対象内。回避方法は音楽に『ノる』こと。好みに合わなかった場合は防御不可の攻撃を食らうことになる。対象に音楽を解する知能が無かった場合(たとえば無生物には魂はあっても知能がないので確定で命中)は必中です。
ちなみに自称が「アリウム」じゃないのは名前感が薄くて可愛くないから。縮めたことでより人名っぽく、可愛らしくなったので気に入っている。
・ケーパ
年齢:18歳 性別:男 身長:170㎝
アリーの飼い主というか何というかなあれ。本作開始時点では約8か月も半同棲状態にあったにも拘わらず別にアリーと契約していたりしているわけでは無かった。好きなものは料理と音楽。DEXが低いのでクオリティは何とも言えない(悪いわけでは無い)。アリーの音楽性と奇跡的なレベルで高い親和性を持っており、如何なる状況でどのジャンルが奏でられようと問題無くノれる。ただの節操無しともいう。
ちなみに住所は辛うじて街の外。今は亡き両親が建てた家だけど今回ビーストに壊されてしまった。父親はビーストと無関係の事故死、母親は病死というちょっとコメントしにくい過去を抱えてはいるけれど、今日も元気に生きています。
Q,なんで頑なに「フィスタ」呼びしてたの?
A,『ソード・ワールド2.0』ってゲームがあってぇ…
〈フィスタロッサム〉っていう武器としても使える楽器があってぇ…
見た目が完全にネギでぇ…
魔動機文明時代(SFな時代)のとある女性吟遊詩人が使った楽器の模造品でぇ…
要するにTRPG楽しいよって話です。
けーちゃん視点でいうと多分最初に「Allium fistulosum」って名乗られたんだと思う。