琥珀は目を回している林檎を回収し、先程入らなかった適当な一室に転がり込む。
「きゅうう…」
唸る林檎を尻目に部屋を見回す。壁についているダクトを発見し、琥珀は林檎をダクト内に押し込んだ。
『…俺、思ったことがあるんだが』
『おもったこと?』
『いや、想像にすぎないんだがな…この世界が一度終わった理由って、巨大な蜘蛛にあるんじゃないか、と』
『おっきいくも?』
きゅっと身体を縮めて震えた林檎を見て、琥珀はそれ以上言うのをやめた。
_でも、あの蜘蛛。人間に寄生しているというふうでもなかったし…あれが特殊なだけか…?
考え事をしながら琥珀も林檎と共にダクトに入る。琥珀はサイズ的にかなり無理があるが、大きなダクトだったおかげで林檎の助けがあればぎりぎり通ることができた。
私を置いて先にいってしまう。
みんなみんな嫌いだ
私はいない
懐かしさの中にはまって溶け込んでいたい
いつになったら大人になれるだろうか
枕を濡らすときが一番私らしい。
真夜中 目が覚めちゃって
頭の中身 片付ける
しまおう しまおう しまおう
ノートの中
だいたいは 予想どおり
ありきたりな言葉ならべて
そんなんじゃ 物足りない
もうこんな時間
部屋の中 満たすけむり
吸いこんですぐ咳に換えて
逃さず全部 つかまえて
スマホにメモ
なんだか目 冴えちゃって
嫌いなことと好きなこと
しるそう しるそう しるそう
ノートの中
書いたことないリズムと言葉
それでいつもの気持ちを描く
それにタイトル うまくついたら
それが詩になる 今夜もリリカル
憶えてる? と問いかけた友情は
思っていたより儚く、壊れていた
より一層「ひとり」を感じながら
まだ行先も分からないままの旅を、今日も。