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仔鬼造物茶会 Act 27

「…」
煙が晴れた時、琅は自身の胸をメガネをかけた長髪の女が足で踏みつけていた。
「お、お前は」
琅は起きあがろうとするが女は踏みつける足に力を入れる。
「あなた、うちのきーちゃんをどうするつもりだったの?」
女…寧依は淡々と尋ねる。
「お、おれは硫を取り戻したくて」
「きーちゃんは、あなたのものじゃない!」
琅が言い終える前に寧依は声を上げる。
「きーちゃんは、あの子は…わたしの家族みたいなものなの」
人に興味を持てなかったわたしにとって、唯一の…と寧依は呟く。
しかし寧依が言い終える前に、琅は寧依に向けて手に持つ魔力式銃を向けた。
「寧依!」
自らが魔力式銃を向けられていることで寧依は身構えるが、走ってきたキヲンに突き飛ばされたことで光弾を避けた。
2人は勢いよく地面を転がる。
「…きーちゃん」
寧依が起き上がると、キヲンはえへへと笑う。

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絆創膏

転んでしまって痛いの…絆創膏ちょうだい

ついでに心に包帯を巻いてくれたら嬉しいな

。昔の私なら言っていたかも知れない。

しかし、心に水を得た私は無敵だ

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Modern ARTists:威霊遣彩能媛 その⑨

「う…………ヒトエぇ…………ヒトエが、いい、のに……」
涙の滲む目で、カミラはヒトエを見つめる。
「ヒトエぇ……きて?」
「っ……カミラ……!」
ヒトエは髑髏から双剣を受け取り、〈髑髏〉を消滅させる。
「ヒトエぇ……! おいで……?」
カミラが弱々しく手を伸ばす。
「…………うん」
最早まともに動けない状態のカミラを前に、ヒトエは意を決して剣を振り上げた。振り下ろそうとする刹那、人型の存在を直接害することへの躊躇と同時に、微かな雑念が頭をよぎる。
(前に戦った時……カミラの心臓を貫いたはずなのに、カミラは死ななかったし、たったの一週間で治癒してきた。あれはなんで? 治した? どうやって? 魔力を吸っていたから? それとも、カミラ自身の性質? ハイジャックさんが何かをした? それとも……)
その時。
「ヒトエぇ、ありがと」
カミラの尾が手首に巻き付き、身体を引き上げてそのままヒトエに手足を固く絡めた。
「カミラっ……⁉」
「ヒトエ、だいすき」
カミラは耳元で囁き、ヒトエの首筋に牙を突き立てた。瞬間、ヒトエの体内から魔力が一気に流れ出す。
「くっ……⁉」
突然の事態に耐え切れず、ヒトエは膝をつく。
「後輩ちゃん!」
“滝姫”を差し向けようとしたエイリだったが、カミラはぴったりとヒトエに絡みついており、攻撃の隙が無い。

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逆光

出会った時から 終りは始まっていたのね
人気ない午後の 屋上のレストラン
あなたは窓の外 ずっと見つめていた

苦しかった日々が 2人を無口にさせる
夕陽に照らされた あなたの瞳の奥に
居るのは私でない 他の誰かなのね

街ではみんなが慌ただしそうに
地下鉄の波へ吸い込まれてゆく
私とあなただけ 時が止まったように
金色の交差点 信号機見送る

いい思い出だったと 今なら思える
憎しみも悲しみも ぜんぶ燃やして
楽しかったことだけ アルバムに貼るの

今 逆光のなか あなたが遠ざかる
私はそっと目を閉じる
あなたの残像が 消えてゆくのをみた

今 逆光のなか あなたが遠ざかる
私はそっと目を閉じる
あなたの残像が 消えてゆくのをみた