私はひたむきに努力する君が大好き
友だち想いなところも
私たちを友だちのように接してくれるところも
みんなと共に物事を達成しようとするところも
動画配信の壁を越えた新しい挑戦をするところも
サプライズプレゼントに涙を流して喜んでくれるところも
嫌われないように常に周りに気を使いながら頑張るところも
私のことをすきと言ってくれるところも
いつかその努力が実った時には共にたくさん泣いてたくさん喜ぶからこれからも私にいろんな景色を見せてね
それが人生を変えてくれたことへのささやかな恩返し
放課後、ボンビクス・モリとアンテレア・ヤママイの双子は、寮の部屋にランドセルを放り投げると、すぐに街に飛び出した。
目指す場所は、アーケード街の一角、小さな駄菓子屋。その脇の人一人通るにも苦労するような細い隙間に、身体をねじ込むようにして潜り込み、建物の裏に出る。
そこから壁の配管を伝って屋根に上がると、彼女らの目当ての人物、魔法少女ロノミア・オブリクァが仰向けになって日光浴をしていた。
「くぁちゃん、来たよ!」
「こんにちは!」
2人の元気な挨拶に、ロノミアは目だけを向けた。
「ん、来たな? ちゃんと見られずに来れたか?」
「うん!」
「ちゃんと見られてないかキョロキョロしてから来たよ!」
「なら良し」
ニタリと笑い、ロノミアは身体を起こした。
「あぁそうだ……モリ子、ヤマ子。自慢話してやろうか」
「なになに?」
「聞きたい!」
「実は私なぁ、明日20歳になるんだよ」
「へー、おめでとー!」
「明日誕生日!」
「んにゃ、誕生日は明後日」
「「…………?」」
首を傾げる2人を見て、ロノミアはケタケタと笑った。
「それでなぁ? 自分の身体だから分かるんだけどさ。多分、近いうちに私は魔法を失う。これまで色々と楽しませてもらったし、別に惜しくはないんだけどさ……最後に1つぐらい、ドカンと派手に暴れたいだろ?」
ずい、とロノミアが前のめりになる。
「そこでだ。我が愛弟子の2人に、私の最後の大舞台に付き合ってもらいたいのさ」
誰かが踏んだ轍をなぞる
ケモノになったあの日を笑う
わたしの恋を捨てたわたしが
鏡のなかで鼻血をぬぐう
好きよ 好きだよ 21時は
だらしない興奮で揺れた
1000のコードで歌っても
1000の言葉で描いても
好きよ 好きだよ 明日まで
なさけない絶望を逃れ
好きよ 好きだよ 眠るまで
2人 弱みを握りあう
誰かが踏んだ轍のうえを
わたしの恋はふらふらとゆく