ササキアは朦朧とする意識の中、ロノミアを睨みつけていた。霞む視界の中、ロノミアは斬馬刀を振り上げ、次の攻撃に入ろうとしている。しかし、衝撃が彼女の体内を大きく損傷させており、ササキアは既に回避も防御もできない状態にあった。
「さーぁコイツで締めといこうか。せっかくだから、『全部乗せ』だ」
ロノミアもまた、“破城”を握る両手や踏みしめた膝は小刻みに震えており、体力の限界も近い。
「私の懸けた魂の分、全部、ぜーんぶ、ブチ壊し抜け!」
“破城”が振り下ろされる。ロノミアの魔力の全てを乗せた一撃は、一閃の軌道上に深く破壊の痕跡を残し、ササキア達の背後、校舎そのものを両断し、刀身自体も反動によって粉砕した。
「……ヤマ子ぉ」
振り下ろした姿勢のまま動かないロノミアが呼びかける。
「……くぁちゃん?」
「もう、結界消して良いぞ」
「うん」
アンテレアが結界を解除すると同時に、ロノミアの手の中にあった“破城”の残骸も消滅した。
「『時間切れ』だ。……うん、悔いは無い。最後にたっぷり暴れられた」
言いながら、ロノミアはその場に尻餅をついた。
「くぁちゃん?」
ボンビクスが、不安げな表情でロノミアに近付く。
「何だよその顔? 私の魔法はもうおしまい。それだけさ。まぁ……これから総務局にたっぷり怒られることにはなるだろうけど」
軽い口調で言うロノミアに、双子は変身を解いて抱き着いた。
「何だよいきなり」
「……くぁちゃん、もう私たちの師匠やってくれないの?」
「くぁちゃん、捕まっちゃう?」
「変な心配する奴らだなぁ……私に教えられることは全部教えたし、そもそも悪いことしたんだから捕まるのは前提だ。……あぁ、モリ子、ヤマ子」
双子が顔を上げ、ロノミアを見つめる。
「お前らは、何も心配しなくて良い。お前らの処遇については、私に考えがあるから。お前らの師匠からの、最後の贈り物だ。有難く受け取れよ?」
「アンタ、一体何をしに…!」
「何って…そこにいる、まだ見ぬ異能力者の異能力を奪いに来たのよ⁇」
ネロの言葉に対しヴァンピレスは首を傾げる。
何だと…⁈とネロはその声に怒りをにじませながらヴァンピレスに近付こうとする。
しかしここで耀平がネロの肩を掴んでちょっと待てと止める。
ネロはあ⁈とイラついたように振り向くが、耀平はそこの琳はまだ発現してないんだぞ⁈とと小声で言う。
「発現しそうでしてない奴の前で異能力の話をするのはマズい!」
耀平の言葉にネロは…そうだな、とうなずいた。
それを見て師郎は隣に座る琳くんに、おい琳と声をかける。
「お前さんはさっさとここを離れた方が良い」
「え」
琳くんはどういう事です?と驚く。
師郎は深刻な面持ちで、だからさっさと行けと続ける。
「今は取り込み中だから、お前さんはいない方が良い」
それに、と師郎は付け足す。
明日は多分桜が咲いて
ここにあるって落ち着いて
不安は晴れたって飛び跳ねる
頭の中は春騒ぎ
世の中は花はらり
もう一枚
あともう一枚
悔しいってまた地団駄
あなたが教えてくれた春
僕には分からない春
何度見ても分からない
変わってない自分に完敗だって
また他人に負けて他人を愛しむよ
今日は多分桜が咲いて
ここにはないって落ち込んで
でも空は晴れたって飛び跳ねる
心の中は晴る曇り
記憶の中は春籠り
でも一枚
この一枚
嬉しいって地団駄
君が教えてくれなかった晴る
僕にしか分からない晴る
何回見ても思い出す
変わらない自分に乾杯なんて
また自分に負けて自分を愛しむよ
現実なんてつまらない
桜並木の大通り
はらり散っての春吹雪
やっぱりないって
はぁ空想
春が好きって
それがわかるって
何回だって
吐く嘘
苦しいのはあなたが今前に進んでいる証拠。
疲れたのはあなたが本気で頑張った証拠。
怒るのはあなたが真剣な証拠。
緊張するのはあなたが本気で向き合ってる証拠。
笑えるのはあなたがそれを乗り越えた証拠。
泣くのはあなたがずっと我慢してきた証拠。
失敗したのはあなたが勇気を出して挑戦した証拠。
悩むのはあなたが成長している証拠。