日が暮れ切って辺りが暗くなった頃。
動物園がある小高い丘を下ってすぐの商店街の通りを、奇妙なコドモたちと保護者役の若い女が歩いていた。
「えへへ〜、ピスケスにお菓子買ってもらっちゃった〜」
キヲンはドロップ缶を大事そうに持ってスキップしながら通りを歩く。
「なんかごめんピスケス」
わざわざきーちゃんのために…と寧依は隣を歩くピスケスに申し訳なさそうにするが、いいのよとピスケスは笑う。
「あのままじゃ気分を損ねたままだったでしょう?」
小さい子にはあれくらい必要よとピスケスは小声で言ったが、そうかねと言いながらそこへナツィがやって来る。
その傍にはかすみも続く。
「ちょっと甘やかし過ぎだと思うんだが」
ナツィはそう言ってピスケスにジト目を向けるが、当のピスケスはあらあらよく言うわねと言い返す。
「お前だってかすみになんか買ってやるとか言ってた癖に」
「う、うるせぇ」
ピスケスの言葉にナツィはうろたえた。
「あれは…たまたまそういう気分だったんだよ!」
別にいいだろ!とナツィはそっぽを向く。
それを見てかすみは苦笑いし、ピスケスもあーら照れちゃってと微笑んだ。
…とここでピスケスの隣を歩く露夏があれ、と呟く。
170センチくらいの人型実体となった水は顔の部分をシオンたちへ向ける。と、顔の真ん中あたりから凄まじい勢いで水が発射された。
「うわっ」
シオンが足を上げて回避すると、水は床に当たって跳ね返り、不自然な動きでエリザベスの脛に命中した。
「っ!!」
「リサちゃんっ!」
穴は広くはないが足を貫通していた。
「わ、私が避けちゃったからかな…ごめんね、一旦逃げよう」
シオンはエリザベスをお姫様抱っこにして素早く発射される水を避け、階段へと少しづつ移動する。
「そこの階段、壁にひびが入っていますわ!崩せるかもしれません!」
「ああ、あの近道の…」
階段へ一歩を踏み出しかけて、シオンは足を止める。
「待って。ここの踊り場の鏡、確か水が漏れて_」
ぬるり、と踊り場に人型実体が現れる。シオンが踵を返すと、背後にも、人型実体がいた。挟み撃ちされてせまい段上で高速で発射される水を避けきるのは、いくらシオンといえど容易ではない。
「ど、どうしよう…」
「シオンさん、致し方ありませんわ。私の固有魔法で、下の階に無理やり降りますわよ!」
エリザベスは足元に向けて手を伸ばし、指を鳴らした。
「カラスよりもっと大きかったし」
「はいはい」
ナツィは呆れたように返す。
キヲンは不服そうにしたが、それを見たピスケスはきーちゃんとキヲンの肩に手を置いた。
「せっかくだから少し寄り道しましょう?」
私が駄菓子なんか買ってあげるわ、とピスケスが言うとキヲンはえ、ホント⁈と笑顔を見せる。
それを見てナツィはおいピスケス…と睨みつけたが、ピスケスは気にせず本当よと微笑んだ。
「せっかくだから私がおごるわ」
「わーいやったー!」
キヲンはピスケスの言葉に飛び跳ねる。
ピスケスはじゃあ行きましょうと言うと、キヲンの腕を引いて歩き出す。
他の皆もそのあとに続いた。