キャスから離れていったトゥイーディアは、キヲンを連れて足早に大通りを目指していた。
「…ねぇ」
そんな中、不意にキヲンがトゥイーディアに話しかけたのでどうした?とトゥイーディアは聞き返す。
「キミ…大丈夫?」
「え、あぁ、うちは大丈夫だよ」
ちょっとびっくりさせちゃったなとトゥイーディアは歩きながら苦笑する。
「キャスってば、アイツ疑り深い所があるから仕方ないんだ…」
「ううん、そうじゃなくて」
トゥイーディアの言葉を遮るように、キヲンは足を止めて首を横に振る。
「キミ、泥水を啜るような日々を過ごしてきたって…」
どういうこと?とキヲンは首を傾げる。
それに対しトゥイーディアは、あーそれはただの例えだよと笑う。
「実際にうちは泥水なんか啜ってないし、大丈夫大丈夫」
なにも心配することないよとトゥイーディアはキヲンの手を引いてまた歩き出す。
しかしキヲンはでも、と続ける。
「ボクが“すぱい”だったら、どんな目に遭わされるか分からないってあの子言ってたし…」
「いやいや気にしなくていいよ」
だってアンタ、迷子なんだろ?とトゥイーディアはキヲンの方を振り向く。
ぱちん。指の鳴る軽い音と同時に、エリザベスのシオンの足元で青い火花が散る。
「わっ、」
シオンの驚いた声は、床が撃ち抜かれて発せられた爆音によってかき消された。シオンの足元に風穴が空き、一階下へ落ちる。
「きゃーーーーっ!!!」
「、っと!…ごめん、痛いとこないかな?足大丈夫?」
「え、ええ…シオンさんのおかげで私は問題ありませんわ…けれど、あまり相手と距離をとれませんでした、申し訳ありません」
「それは大丈夫!1回隠れよっか。早くその足の怪我治そう?」
「ありがとうございます!その、今更ですけど重くありません…?」
「重くないよぉ、ライオンの子供とおんなじくらい軽々持てるもん」
「ら、ライオンの子供…それは、貶…いえ、なんでもありません…」
シオンはエリザベスを大事に抱えて走り、使われていなさそうな教室に滑り込んだ。そっとエリザベスを座らせ、足の怪我に手をかざす。