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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 サマーエンカウンター ⑰

なんだかんだあって、自分がクレーンゲームでネロが欲しいぬいぐるみを取る事になってしまって暫く。
何回か挑戦して、自分はぬいぐるみを無事に獲得する事ができた。
お陰でネロは大喜びだし、耀平からはすげぇなと言われてしまった。
他人のお陰とは言え目当ての品を手に入れられたネロは上機嫌になり、ショッピングモールを出た後も楽しそうにしていた。
「黎はすごいな~」
ボクが全然取れなかったものをサクッと取っちゃうんだもん、とネロは寿々谷の街を歩きながら笑う。
だよな~と耀平も笑った。
「そう…?」
自分が首を傾げると、ネロはうん!と頷く。
「黎は本当にすごいんだね!」
そう言ってネロは笑みを浮かべた。
自分は…そうでもないよと呟く。
ネロと耀平は?と立ち止まった。
「自分は全然すごい存在じゃない」
他人とほとんど関わらないし、異能力だって地味だし…と自分はうつむいて続ける。
「だから別になんにも…」
「そんな事ないと思うよ!」
不意にネロが言い出したので、自分は驚いて少し顔を上げる。