「前に”次この街に来たら今度こそ決着をつけよう“と約束をしたのに…それを放棄して逃げるなんて、お前も落ちたもんだな」
「ま、年月を経て私も変わったのよ」
ピスケスは不意に笑みを消してこぼす。
「私にも、何よりも優先したいものができた」
ただそれだけ、とピスケスは右手に短弓を生成する。
「ふぅん」
それは、そこの”黒い蝶“のことか?とカプリコルヌスはいつの間にか地面から立ち上がってかすみたちの傍に移動していたナツィの方を見やった。
ピスケスは少し違うわね、と微笑む。
「腐れ縁みたいな仲間たちと、のんびりお茶でもしている時間かしら?」
「そうかい」
カプリコルヌスはそう言って騎槍を下ろす。
そして、右脚のホルスターに納めていた短剣を抜き取った。
「そんなことで決闘を放棄するっていうのか」
カプリコルヌスは短剣をピスケスに突きつける。
ピスケスは…あら、そこまで言ってないわよ?と首を傾げた。
あなたは誰1人も見逃さずに暖かく接する。
元気をくれる存在。
学校の長なのにその座をひけらかさずに、ひとりひとりに挨拶を欠かさない。
私たちみんなの憧れの存在です。
またね
時というものは
ずっと川のように流れ続けている。一定方向で
一匹の魚が戻ろうとしても川の流れの力に負けてしまうように
人間もそう過去に戻ろうとしても戻ることが不可能である。
強制的に未来へ向かっていくのだ。
時の流れが遅いと感じても
たわいもない普通の日々でも
当たり前と思っている日々でも
いざとなるといつのまにかこんなに時がたっている
時の流れが速いと感じるだろう。
時というものは
一定の速度で円を何周もしている。
時というものは
今も流れ続いている。
生きる軌跡が終わるまで。