「かすみはかすみなんだから、自分の好きなようにしていい」
その方が俺も気分がいいし、とナツィは腰に両手を当てる。
「なによりいっつも同じような服じゃつまんないしな」
だから今日はちゃんと選べ、とナツィはかすみの目を見やった。
かすみはついまばたきをして、…じゃあとこぼす。
「自分に似合う服を選んでほしいな」
「えっ」
思わぬ回答にナツィは困惑する。
「それ、答えになってなくね…⁇」
「そう?」
正直に言ったつもりなんだけど…とかすみは不思議そうに首を傾げる。
そんなかすみの様子にナツィは呆れてため息をついた。
「仕方ない」
俺が選ぶから、文句は言うなよとナツィはかすみの手を取る。
かすみは…ありがとうと頷き、歩き出した。
私はなんで生きているの?
私はなんのために生まれてきたの?
私はまだ私の存在意義がわからない。
だから私は私の存在意義がわかる日が来るその日まで
生きていよう。
たとえば
他の女の子が脈アリ度0から始めるとき
わたしは脈アリ度−100とかから始める
始めても進まないかもしれない
『美人じゃなくても愛嬌があれば』
『これさえすれば一発で脈アリ』
『仕草と性格で美人と闘える』
それって『他人』だった時の話だよね?
全部完璧じゃないとダメなの
完璧じゃないと
『普通の女の子』と同じ土俵に立つ
希望すら持てないの
最初から存在意義のある人間などいない
否
人間には存在意義が内在している
の方が正しいだろうか
子供の生きている時間など
せいぜい10年や20年
その程度の時間で
人間の存在意義が確定するわけがない
1人の人生がそこまで浅いわけがない
子供でいる期間とは
価値増殖の期間
存在意義は
始めからあるのではない
生きるうえで見つけるものだ
それがいつになるかは分からない
1年後かもしれない
10年後かもしれない
20年後かも 30年後かも分からない
これは綺麗事などではなく
子供は“生きること”が存在意義なのだ
そんなことは分かっていても
生きていていいのか
迷うときはあろうと思う