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墓想造物茶会 Act 33

「“事情”って、なに?」
その言葉にナツィは少し顔をしかめる。
「…言わなきゃいけない?」
ナツィは渋るように言ったが、ピスケスは言った方がいいわよ〜と横から口を挟んできた。
「お前、好きな子にすら自分の秘密を言わないんだから」
「ちゃ、茶化すなよテメェ」
ピスケスに煽られるように覗き込まれて、ナツィは恥ずかしそうにピスケスから少し離れる。
ピスケスは、事実だものと手で口元を隠しつつ言った。
ナツィはそんなピスケスに恨めしげな目を向けてから、かすみに、なぁと向き直った。
「かすみは俺の昔話を聞いても、変な風に思わない?」
「…どうして?」
かすみが聞き返すと、ナツィは、いや、その…と恥ずかしそうに目を逸らす。
「だってなんか言いづらいし…」
「つべこべ言ってないで早く言った方がいいわよ」
「うっ」
ピスケスに横槍を入れられたナツィは気まずそうな顔をした。
しかしかすみは、別にいいよとにっこり笑う。

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春。

春ってさ
「出会いと別れの季節」
とかいうよね。

もし、この世に「出会い」というものがなかったら?
きっといつまでも孤独なんだろう。
周りは人で溢れているのに
孤独なんだろう。

もし、この世に「別れ」というものがなかったら?
きっといつまでも変われないんだろう。
新しい場所に踏み込まないで
閉じ込められてるんだろう。

もし、この世に「春」というものがなかったら?
矛盾する世界なんだろう。
出会わないのに別れないのなら
誰も存在しないんだろう。

春があるから
私たちは出会い、別れる。
そして、私たちは命の花を咲かせる。
地球という美しい草原に
命の花が咲き誇る。
命の花の水は
春。