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第一部【FANATICALとADDICTED】p.2

「あ、でもほんとはね、20万の予定だったのよ? でも負けてくれっていうの。信じらんないでしょ、リニアーワルツと遊べることなんて滅多にないのに。だから途中で帰ってきちゃった。早くアディくんに会いたかったしー」とファナが呑気に話す姿を見て、アッドは、はぁーっと大きな溜息を吐いた。

「ファナぁ……またそんなことやってたの? カネなんかなくても生活できるでしょ?」
「でもファナ、アディくんと遊び行きたいんだもん。ラボの連中遊びに行くカネくれないじゃん」
「そりゃ外出禁止なんだから」
「じゃあいいの? アディくんはファナとデートできなくても」
「それは嫌だろ」
「じゃあちょっとくらい許してよ」
「……そんなことしてるとさ、俺が女に遊ぶカネ稼がせてるみたいでしょ?」
「大丈夫よ。だってご飯食べておしゃべりするだけよ?」
「……ほんとにそれだけ?」
「ぅやっ……それだけ」
「……嘘だな」

 アッドの刺すような眼差しに、ファナは後ろめたそうに顔を背ける。自分に隠し事をしようとする態度に些か気が立ったアッドは、先ほどの大切なものを包むような手つきから一変、乱雑に彼女の髪を掴んで、その不安定な光を放つ瞳をのぞき込む。

「やぁ痛あい!」
「あっ、すまん……」

 強気に出ていたアッドが、痛がるのを聞くとすぐに手を引っ込めた。彼の眼には不安と、何かに対する恐怖のようなものがちらついている。ファナは崩れた髪を手櫛で直しながら、観念したというように、口を尖らせた。

「そーよ。でも別にいいでしょ? 気分転換よ気分転換」