(マジかよ!? いや近くに適当に逃げ込んだわけだし、偶然か探してきたのかまた来る可能性は十分あったと思うけどさぁ!?)
咄嗟に燿子が隠れている黒布に目をやると、それは地面にくしゃりと落ちていた。燿子がいなくなっていることに動揺しながら周囲を見回すと、彼女の姿は清嘉の背後にあった。
「いた……何かイメチェンした?」
清嘉の視線は、彼女の頭に生えた1対の狐耳に注がれている。
「気にするな小僧。禁を犯した者への当然の制裁じゃ」
燿子の返答は、先ほどまでの軽いながらも敬語を使おうとする態度とはまるで異なる、尊大で古風な口調だった。
「えっ、あっ、はい、何、コックリさん?」
「ま、そんなところじゃの。それよりも……」
燿子が愛弥の方を指差す。彼女も二人に気付いたようで、殺意が立ち上る。
「あー? さっきの奴らじゃんか。ちょうど不完全燃焼でイラついてたとこなんだよ……ブチ転がしてやる……!」
「ッ……“メリーさん”!」
『異聞』形態の“メリーさん”を呼び出し、構えさせる。しかし次の瞬間、飛来した斬撃がその右腕を刎ね飛ばした。
「くははッ、先手必勝ォーッ!」
『ぬム……』
その時、冷や汗を流す清嘉の肩に、燿子が手を置いた。
「おい小僧。コックリさんからありがたーいお言葉じゃ。確と聞け」
「え、何すか」
「この場は妾に任せて“でーと”してこい」
「……は? なんで? 誰と?」
「決まっておろうが」
燿子が指差したのは、残った左腕で二人を庇おうと立ち塞がっている“メリーさん”だった。
「…………マジでなんで?」
「えぇい煩い煩い! 妾の宣託に逆らうか小童風情が!」
「ひぇっ、すんません……め、“メリーさん”! 俺らは一回退くよ!」
『! メリーさん逃げるのっ』
「逃がすかァッ!」
振り返った“メリーさん”の両脚が飛んできた斬撃に叩き斬られ、小さな身体が地面に転がる。
「ええい鈍間共め! さっさと行かんか!」
燿子が素早く前に出て、倒れ伏した“メリーさん”を片手で清嘉に投げつける。それを何とか抱き留めると、清嘉は躊躇いながらも逃走の態勢に入った。
「ごめんコックリさん! この場と野火止さんの身体は任せた!」
「……おう任せい!」
考え込んでいる清嘉をしばらく見つめていた燿子は、不意にリュックサックから蝋燭を1本取り出し、ライターで火をつけた。
「……ん? どしたの野火止さん」
「いえ別に……試してみますか? “コックリさん”が何か教えてくれないか」
「未来の情報は掴めないんだろ?」
「はい、なので“過去”に“フラグ”が無いかなって。向こうの弱みでも、こっちの強みでも……何かヒントくらいはもらえないかなと」
「良いけど……またタイプライター出すの?」
「いえ、流石にもうちょっとコンパクトにやりますよ」
そう言って、燿子はリュックサックから黒い布を引っ張り出した。
「ちょうど良い閉鎖空間が無いんで、これで代用します」
「……どうやって?」
「頭から被ります」
「暑そうだなぁ……」
「大丈夫ですよ、私一人でやるんで」
「えっ」
『“コックリさん”を一人で行ってはいけない』。有名な禁忌である。当然それを知っている清嘉は、疑問の声を上げた。しかし、燿子はにんまりと口角を上げ、親指を立ててみせる。
「大丈夫ですよ、私の力なんですから。それじゃ、ちょっと聞いてきますね」
燿子は黒布をばさりと持ち上げ、その下に素早く潜り込んだ。清嘉は所在なくその近くに立ち尽くしていたが、暇を持て余して地面に崩れ落ちている召喚体を呼び戻す。召喚体は“略霊”形態の小さな姿に変化しており、切り離された上半身と下半身が別々に地面の上でごろごろと転げ回っている。
『私メリーさん~……もう戦えないかも~』
「でも今の面子的に無理してもらわないとならないからなぁ……」
『んぇ~……』
「一回消してから再召喚すればまた元気になるからさ。我慢してくれよ」
『やぁ~……やる~……』
清嘉は消失・再召喚を行い、損傷の無い“メリーさん”を出現させた。
『私メリーさん。もっかいがんばる~』
「うん頑張って」
『……あ』
「どしたの“メリーさん”」
『所有者ぁ、たーげっと』
「えっ」
召喚体が指差した先を清嘉が見ると、ちょうどその路地に入ってくる愛弥の姿があった。
夢お告げで何度かセントラルに訪れた事がある。
ーセントラルー
そこには木々がサワサワと揺れ光が差し、森が広がっているらしい。
ここに行く人の主な特徴は
生前、人を導き、救い、努力した人が行ける場所だ。善良な人だけが行けるとされているらしい。
因みに私は其処には行けない。
このセントラルの次の階数の【オワリ】って所に行ける予定だ。
ここでいうのも何なんですが、しばらく活動休止ということで…。
しばらくここに来れません。最低でもあと半年後に、また戻ってきます!絶対‼今までお世話になりました。
こわばった心 揺らす響き
君の未来ごと 埋めつくしたがる
やさしいだけで いいこにすれば
いいことあるの? 間違いないの?
「勇気がないのは普通のことさ」
耐えて忍んで おとなしくしてる
冷やかしと気遣いで
ふるさとが枯れていく
それずっと見てる
君のやさしさを喰らい尽くして
世界はおかしくなっていく
もらったエサをたらふく食べて
太ったら 君も運ばれる
信じて待てば 静かにすれば
いい夢みれるか? はてしなく
バカにされても 笑って許し
大切な人たちが運ばれていく
それずっと見てる
もらったエサでたらふく太る
君もどこかへ運ばれる