・”妖記廊”
日本の”語部”支援機構。公的文書に名前が挙がることは無いが、政府や皇室にも存在を認可されている公的秘密組織。日本各地への能力者養成校設置、組合運営、国家規模での対怪異防衛戦略などを一手に担う、日本の”語部”のトップ。ちなみに日本の能力者支援の手厚さは世界トップクラス。2位が中国で3位がイギリスらしい。
・能力者養成校
各都道府県に最低1つ以上設置されている私立学校。ほとんどの都道府県には1校設置されており、例外として人口の多い東京と歴史のある京都には3校、面積のある北海道と妖怪伝承が多い岩手には4校、出雲大社のある島根と伊勢神宮のある三重には2校設置されている。日本全国で合計59か所。
いずれも幼稚園から大学までのエスカレーター式。中途編入や進学時に学園外に出ることは可能だし、一応“語部”と無関係の外部生も入学できる。最大の特徴として、文部科学省が定める通常の学習課程に加えて、『怪異学』と『能力制御』のカリキュラムが組み込まれていることがある。通常教育でカモフラージュされているため、一般人からは普通の私立校として見られている。
日本国内で新たに誕生した”語部”は”妖記廊”所属のある”語部”の能力によって即座に存在を把握され、進路を養成校に誘導される。
”語部”を取り逃さないために、入学者及び家族には手厚い支援が為される。
能力設定
【チェンジリング】
略霊:『赤子の誕生』を感知する能力。『赤子』の定義を『特定概念に新規に該当するようになった存在』と再解釈することで、日本国内における新たな”語部”の出現を察知することができるようになった。
備考:”妖記廊”所属のとある”語部”の能力。この力によって国内における能力者の誕生を感知し、即座に保護工作を講じることができる。
安心していいんだよ
大丈夫
その言葉が私にとってどれほど心を安定させるか
今まで「なんか今日は、心がポカポカするな
」とか、「あの人の言葉ってなんだが不思議だな」としか思わなかった。
ようやく気が付いた。私って鈍感だから今まで気がつかなかった。あなたは私を笑顔にさせるべく行動してくれてた。
あなたの行動や言葉に救われました。
ありがとうございます
・実は『召喚系能力』は語部全体で見ても比較的レアな能力です。特殊能力は本来、『怪異の性質を独自に昇華して武器とする』ものなので、怪異そのものの存在性を保ったまま実体として使役する召喚能力は、結構レアなのです。その中でも、清嘉の”メリーさん”はかなり自我が強く、召喚体自身の意思で形態を変えたりもするため、本当に異質な存在です。
・本来、怪異存在とイマジナリー・フレンドは別存在です。何故か清嘉の”メリーさん”はイマジナリー・フレンドとしての自認がかなり強いようですが、原因は不明です。いろいろな要素が噛み合った結果の奇跡の産物としか言いようがない。
・燿子の”コックリさん”も語部の能力としては珍しく、『異聞形態でも殺傷能力がほぼ皆無である』という性質をもっています。剰霊形態でようやくまともな戦闘能力(それですら攻撃力は燿子のフィジカルに依存してかなり低い)を獲得するという、あまりにひ弱な語部が燿子。
・実は一番ベーシックな語部は、3人の中だと愛弥(攻撃能力の無い補助用の略霊・攻撃能力の高い異聞・剰霊/浄霊未到達)。その愛弥ですら、一般的な怪異が元となった語部ではない。全員が全員特殊事例。
・能力の各形態(略霊/異聞/剰霊/浄霊)の併用可否は、各人によって異なります。たとえば清嘉の場合、1体の召喚体が段階ごとに形態変化しているため、同時使用はできません。清嘉のようなパターン以外だと、『略霊能力の使用をトリガーとして異聞能力以上が発動する』ものや『一形態の使用に集中しなければならないほど負担の大きい』といったパターンの能力がこれに当たります。燿子や愛弥は、各形態の効果が競合していないため、同時使用も可能です。
清瀬愛弥の捕縛成功から数日後。清嘉のスマートフォンにビデオ通話が着信した。
「もしもし?」
『もしもーし、足立センパイ。お疲れ様です燿子ですー』
「野火止さん……あ、腕は繋がったんだ……良かった」
『いやぁ、友人にすごい“語部”がおりまして』
何事も無く繋がっている左手をひらひらと振りながら、燿子はカメラ越しに笑顔を見せた。
『センパイ、お給金は振り込まれましたか?』
「うん……何か、すごい額だった……」
『中高生がいきなり6桁のお金もらったら、金銭感覚壊れちゃいますよね~』
けらけらと笑う燿子に、清嘉も苦笑して頷く。
『そういやマナミちゃんってどうなったんですっけ? そっちの校長に引き渡してからのこと、私知らないんですよねぇ』
「何か、うちに転入することになったらしいよ」
『ふーん。周りに強い能力者がたくさんいる環境で鼻っ柱へし折られちゃえば、マナミちゃんも大人しくなりますかね?』
「だと良いなぁ……」
『あ、センパイセンパイ。私、“メリーさん”にご挨拶したいですー』
「えー……まぁ良いけど……」
略霊形態の召喚体を呼び出すと、“メリーさん”は物珍しそうに画面に顔を寄せた。その様子に、燿子は黄色い声を上げる。
『きゃーメリーさん画面越しでももちもち可愛い~! メリーさんこんにちはぁ』
『こんにちはぁ?』
『ご挨拶出来て良い子ですねぇ……』
「……もう良い?」
『あっはい、ありがとうございました』
“メリーさん”を膝の上に乗せ、清嘉は会話を再開する。
「それで、用事はそれだけ?」
『んー……腕が治ったのは見せたし……』
「あ、やっぱりそれも目的だったんだ……」
『ま、私相当な深手負ってたらしいですからねー。“コックリさん”から解放してもらったの、あれから三日後だったんですよ? あとそれから、マナミちゃんのその後も聞いたし……あっそうだセンパイ。打ち上げしましょう打ち上げ。祝勝会ですよ。私がそっちにお出かけするんで、一緒に遊びましょう』
「えー…………まぁ良いけど……」
『なんで女の子が遊びのお誘いしてるのにそんな微妙な反応してるんですか。まあ了承してくれるならそれで構いません。日程決めちゃいましょう。スケジュールは私が組みますから』
燿子の勢いに押されながらも、清嘉は休日の予定を確認し始めた。