表示件数
0

狗蝶造物夜迎 Act 4

「お前、なんでピスケスのところに連絡したんだよ」
「は? なんでって」
「いや、お前はお前で別に家があるらしいじゃん」
ナツィがそう言うと、露夏はつい足を止める。
そのことに気づいて、ナツィとかすみも立ち止まって振り向いた。
「…お前、なんで自分の家に連絡しないんだ」
ナツィが尋ねると、露夏は…いや、さぁと目を逸らす。
「おれはピスケスの“狗”なんだし」
「なんだよソレ」
「いやいや、おれはそういうものなんだって」
「イマイチ答えになってないんだけど」
ナツィと露夏はそう言い合うが、やがて露夏は仕方ねぇだろと呟いた。
「アイツと長く連んでいるうちに、腐れ縁みたいになっちまった」
だからアイツを頼らざるを得ない、と露夏は上着のポケットに両手を突っ込む。
ナツィとかすみは静かにその様子を見ていたが、露夏はなんだよとこぼした。
「おれとピスケスは付き合いが長くなってきて腐れ縁になってきてるだけなんだし」
別にお前らみたいな関係じゃないから、安心しろと露夏はキャップ帽のつばを上げてみせる。
「…でもまぁ、アイツもおれのこと、多少は気にかけてくれるしなぁ」
まぁ“狗”なんてそんなものだろうな、うんと露夏は一人頷いた。
ナツィとかすみは相変わらずそんな露夏の様子をなんとも言えない面持ちで見ていたが、やがて露夏がほら、と手を叩いた。
「帰るんだろ、お前ら」
お前らだって見た目から言えばその辺の人間にコドモ扱いされちゃうんだし、と露夏はナツィとかすみを追い抜かしつつ呟く。
ナツィとかすみは顔を見合わせると、また夜道を歩き出した。

〈狗蝶造物夜迎 おわり〉

0

狗蝶造物夜迎 Act 3

「…なるほどね」
ひと気のない夜道をナツィやかすみに続いて歩きながら、露夏はポツリと呟く。
「おれがお巡りさんに補導されかけて、それで連絡先として鴻海家の電話番号を教えたらピスケスのところに電話が入って、面倒臭がったピスケスはかすみの保護者のところにおれを連れ帰るよう頼んだら、たまたまいたナハツェーラーも出てきたってことか」
「まぁそんなところ…」
かすみの家に向かいながら、露夏とかすみはそう会話を交わした。
「にしたって、保護者の連絡先ってことでピスケスの家の電話番号を教えたら巡り巡ってお前らが出てくるとはな」
びっくりだぜ、と露夏は後頭部に両手を回す。
それに対しナツィは、お前なぁ…と呆れたようにこぼした。
「いくら人工精霊とはいえ、夜中になにも知らない一般お巡りに捕まるとかアホすぎるだろ」
「なんだよアホって」
「文字通りの意味だよ」
「おめー文句あんのか」
ナツィの言葉につい露夏は言い返し、ナツィもそれに強い言葉で返事する。
かすみは2人とも!と諫めた。
「…」
ナツィと露夏は思わず黙り込むが、やがてナツィが、なぁと声をかける。
露夏は、ん?とナツィに目を向けた。